ころんside
今日、あなたはなーくんと遊びに行った。最近、ぜんっぜん構ってくれないなぁ…。俺の事、どうでもよくなっちゃったのかもしれない。
独りでぽつりと呟く。気がついたら、目のふちに涙を溜めていた。
トン
ふと誰かに肩を叩かれた。涙を拭い、振り返る。そこには、明梨ちゃんが立っていた。
にっこり微笑む明梨ちゃんをよそに、ある計画を思いついた。
少し驚いたのか、いつもよりさらに声が上がっている。
だけど、すぐに頷いた。
シャッターを切る。俺は、写真を確認してから、歩き出した。
数時間後
なーくんの家の前に立つ。ちょっと気まずい気もしたけれど、大きく息を吸い込んでから扉絵開けた。
なーくんの声が聞こえる。俺は皆が集まるリビングへと向かった。
ひとりでからからと笑う。ジェルくんとるぅとくんは、顔を見合わせてから俯いた。
その光景を見た瞬間、言葉が出なくなった。あなたがなーくんにクッキーをあーんしている。
俺、してもらったことないのに…。
それからと言うもの、あなたとなーくんはずっとくっついていた。
辺りはもうすっかり暗い。あなたが立ち上がった。
俺がいつもより低めの声を出す。ジェルくんとるぅとくんの肩が震えた。
バタンと扉が閉められる。なーくんはそっと息をついた。
家路についてすぐ、俺は言った。
あなたは俺と目を合わせようとしなかった。ただ視線を逸らすばかりで、逃げようとはしない。
予想外の返答に、固まる。あなたはそのまま続けた。
瞳から涙を流すあなた。
僕は、あなたに向かって微笑む。
あなたは頬を赤く染める。あなたの冷たい手に、自分の手を重ねた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。