第38話

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2019/01/05 01:03
あの夜のように、大人を見据える。
腕を肩の高さまで上げた。
その手に握られているのは死神が描かれたJOKER。
そして…
夜霧 真
……紅い月。
パスワードを口にすると、JOKERは姿を変え、僕の身長と同じくらいの大きな黒鎌になった。
これが翔馬が作った最新の科学。
でも、大人だ。
男性
殺せぇぇぇぇぇ!!!!!!
大人が何人も僕に向かう。
夜霧 真
ははっ………死ね。
鎌を横に一振り。
ゴトンッ………ゴトンッ……
男性
ひっ…!
男達の頭が地面に落ちる。
頭が消えた胴体からは血が噴き出し、地面に吸い込まれるように地面に伏せる。
僕はその胴体を踏みつけ、大人達の方へ。
夜霧 真
……。
コイツらは全員殺すけど……
先にかこまれてる未成年を逃がすのが先かな…
その時、僕の横を誰かがすり抜けた。そして…
若槻 翔馬
すまないな、青年。
後ろの方でそう聞こえ、悲鳴が聞こえた。
今度は目の前で女性が銃を構えている。
桐崎先生
…ごめんなさい。
放った銃弾が女子の眉間を貫いた。
やっぱり覚悟が違う…。
僕は琥珀に目で合図をすると、前で戦っていた琥珀が僕の隣まで来た。
火ノ神 琥珀
どうされますか。
夜霧 真
未成年が逃げる道を開ける。だから、琥珀は逃げる援護を。
火ノ神 琥珀
はっ。
鎌を振り上げ、大人達が来る方向に振り下ろす。
その瞬間、鎌の先から出た小さな炎はだんだんと大きくなり目の前を大人ごと燃やし、道が開いた…。
























暁月 璃紅
逃げてください!
暁月さんの大声にみんなが立ち上がり、アイが焼き開いた道に向かって駆け出す。
でも…
男子
うわぁぁぁぁぁぁぁ!!!!
女子
た、助け…っ……
男子
こっち来るな!!!
あちこちから悲鳴が上がり、横目で見ると、地面に倒れていく人が見える。
三浦 友哉
あっ!
伊月 悠
ちょっ、友哉!!
目の前に倒れた人の腕に足が引っかかって転んだ。
すると、それを見た大人がこっちに向かって来る。
男性
おっしゃぁ!これで俺は助かる!!!
頭に向けられた銃を見て、俺の体が停止する。
そして…
パァァッン!!!
三浦 友哉
うわっ…!!
打たれる直前、俺は誰かに突き飛ばされた。
慌てて起き上がり見たのは……腹部から血を流している美玲。
三浦 友哉
何で…
瑠川 美玲
わた、しは…友哉に期待してる…。ただそれだけ、だ、よ……
そう言い、少し笑った美玲はスグに動かなくなってしまった。
三浦 友哉
……。
その言葉がより俺を動かさせてくれなかった。
悠が何か俺に声をかけているけど、その声も俺には聞こえない。
そのとき、俺は前方から殺気を感じた。
首の後ろに何か冷たい物を感じ、前を見ると、俺の首ギリギリに鎌の刃を当てるアイ。
アイ
…情けない。
三浦 友哉
え…?
アイ
早く立て。君は人の気持ちを無駄にしたいのか?君に期待していたからその子は命を捨てて君を守ったんだろう?
昨日のアイとは違う言葉遣い。
まるで人が変わって別人のようだった。
アイ
期待を裏切るのなら私は今、ここで君を殺す。今は誰もがいつでも死ぬ状況なんだ。覚悟を決めろ。
アイの心の黒い霧が濃くなる。
霧がアイの見えない本心をさらに隠す。
俺は無言で立ち上がった。
三浦 友哉
…こんなところで死んでたまるか。
アイ
…その意気なら大丈夫だな。
そう言い、アイは後ろを向くと、俺は開かれた道を悠と共に走り出した。

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