第14話

✡日記
265
2018/11/24 12:01
部屋を出て、休憩スペースの椅子に座る。
三浦 友哉
改めて見ると、普通の本にしては分厚いな…。
鹿島 瑚子
うん…、真の本棚にあったんだよね。
三浦 友哉
う〜ん……ま、読めばいいか。
瑚子にも見えるように本を開く。
どうやら、中身は日記のようだった。
4月16日
かすかにお花のにおいがする。
まわりは暗くて、なんかきらい。
手がおもくてうごかしずらい。
お外から楽しそうにはなす声が聞こえる。
少し歪んだ字で書かれた日記。
ひらがなで書かれている部分が多く、表現の仕方も幼い印象を持った。
俺はペラペラと飛ばし、次を見る。
5月02日
わたしはわるい子なの?何かしたのかな?
何でいつもひとりぼっちなの?
どうして、みんなわたしを叩くの?
いたいよ。
7月22日
1度でいいから、お空を見てみたいな。
暗くてせまくて、おもい鉄をつけるのやだ。
大人に叩かれるのやだ。
わたしのお母さんにあいたい。
10月19日
今日はものすごくいたかった。
お腹にものすごーくあつくなった鉄を押しつけられて、大人に笑われた。
わたしのお名前は「涼」って。
なんか分からないけど…うれしくないなぁ。
12月30日
もういやだよ…早く死にたい……。
どうして?どうして、わたしはこうなの?
どうして、わたしにはお友だちがいないの?
どうして、わたしは生まれちゃったの?
3月11日
わたしのへやに知らない子がきた。
まっ白な長いかみ、はだにまっ赤な目の子。
その子はわたしになぜかやさしくしてた。
何でだろう?
3月12日
また同じ子がやってきた。
体にたくさんの青むらさきがうかぶわたしに「大丈夫?いたいよね。」って。
だれにも言われたことがないことば。
あの子、あしたもくるかな?
3月13日
またきてくれた。
わたしのことしん配してくれた。
その子は自分を「ユズ」と名のった。
明日にはかえっちゃうって…。
3月14日
ユズはわたしに名前をくれた。
「真」、いつでも自分が正しいとおもう道をまがらず真っすぐつきすすめ!って。
いつかまた会えたらいいな。
ずっと読んでるとキリがないと思った俺は、もっと飛ばすと、1ページだけ角が折られてるページがあった。


季節は秋で字も上手くなっている。
9月10日
初めて空を見ることが出来た。
くらい空に赤い満月がういていて、きれい。
なぜか身体がうずく、力がわいてくる。
力まかせにうでを引っぱると、くさりがちぎれた。部屋を出て、外に出ると、わたしじゃなくなって、気が付くとみんなが真っ赤にそまっていた。
9月10日の日記の次のページは大量の名前が書き込まれていた。


そして、何ページかは何も書かれておらず、その次のページは俺も知る真の字だった。
6月06日
久しぶりに部屋を掃除してたらこれ見つけたけど…何これ?wただの病み日記じゃんwww
こんなのが僕の過去なわけないんだけどww
6月28日
変な投票?があった。
こういうのは取り敢えず、翔馬に伝えといた方がいいのかなぁ?
この6月28日を境に、去年の死の投票の記録が細かく書かれている。いつ誰が死んだか、誰に何票入ったのか。そして…咲玖がしたことも。


最終日にも真は日記を書いていた。
7月15日
今日は僕の最期の日。
どんどんみんなが死んで、凄い嫌だったな。
周りから見たら普通かもしれないけど、僕的にはやっぱり辛い。
この日記を書くのもこれが最後になるのが、少し寂しく感じちゃう。
バイバイ、僕。


そこで終わりかと思ったけど、次のページにまだ続きがあった。


いつかこれを読むかもしれない友哉と瑚子へ

元気にしてる?
何かね、そんなに書くことはないんだw
なら、こんなこと書かなくてもいいような気もするんだけどねw
まぁ、ただ…僕、普通に2人のこと好きだよ。
口にするのは簡単だけど、いつも言っているとそれが当たり前みたいになっちゃう。
当たり前じゃなくなる日常が来ても、クラスのみんなの顔は忘れないで!
辛い日が続いても、いつかは幸せになれる日が絶対に来るはずだから。
それじゃ、僕の分も人生を楽しんでね!
鹿島 瑚子
……。
三浦 友哉
……。
鹿島 瑚子
これ…
三浦 友哉
ああ…
鹿島 瑚子
真は私と友哉の未来を願っていたんだね…
三浦 友哉
そうだな…
湊翔にもらった写真を改めて見る。
鎖に繋がれている女の子が真だとしたら……この白い長髪の子が「ユズ」になるか…。
鹿島 瑚子
何か……真らしくない。
三浦 友哉
ああ見えて結構、照れ屋だし…。
鹿島 瑚子
今回も絶対に生きようね。
三浦 友哉
もちろん。
横目で瑚子を見ると、決心したような顔つきで何処か清々しいように見えた。
立ち上がり、歩き出そうとした時…
プチッ……
鹿島 瑚子
ん?
三浦 友哉
え?
スリッパに何かを踏みつけた感覚が走る。
足を上げると、割れたコンタクトレンズ。
三浦 友哉
あっ、ヤバっ…

プリ小説オーディオドラマ