村への1歩を踏み込んだ瞬間、真が目の前に飛んできた。
背中を擦りながら、真が立ち上がる。
日本刀を手にした神崎さんが村奥から歩いて来た。
真がふらりと立ち上がって神崎さんを見据えた時、若槻さんが前に出た。
若槻さんが助手席からナイフと銃を出し、銃を桐崎先生に投げた。
そして、若槻さんのナイフと神崎さんの日本刀が交差する。
走り出した真を俺は追いかけた。
前回は見なかった村の中、大きい建物を中心に家が何軒か並んでいる。
靴を脱ぎ、2階に上がる。
一番奥の部屋に真が入ると、押し入れに入った。
床には大きな血痕があり、俺は息を呑む。
ダンボールを取り出し、開ける。
中には刀、銃はもちろん、爆弾や閃光弾まで入っていた。
ダンボールを漁り、一つ一つを見ていく。
その横顔は何処か寂しそうにも見えた。
ポツリと呟き、閃光弾を手に取る。
それだけ言うと、真はいなくなった…。
村からスグの山に来た僕。
山の中でも奥の広げた場所の大きな木の上にいた。
正直、かなり今凄い焦ってる。
途中で蹴りが入った時、膝の関節がおかしくなった気がする。
頑張っているけど、歩く度にキシキシと音が鳴っていた。
本当に僕が自爆しないといけなくなる…。
まだ"広い世界"を見ていない。
まだ友哉や瑚子と一緒にいたい。
まだ……死にたくない。
そんなことを考えていると…
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。