第37話

紅い月
312
2019/01/04 10:24
嫌な予感がし続ける俺。
夜の6時50分になる頃、息は荒れて何故か涼しいのに汗をかき始めていた。
伊月 悠
お、おい友哉。凄い汗かいてるぞ…
三浦 友哉
大、丈夫だ…
伊月 悠
大丈夫に見えないけど…
三浦 友哉
何か…嫌な予感がするんだ…。このままだと俺達が死ぬ気がする…
伊月 悠
え?
三浦 友哉
分からないけど…ここから…ここから早く逃げないと……
伊月 悠
……。
俺の謎の発言に悠が困ったような顔をする。
すると…
ザッ……ザザッ…
電子音が聞こえた。
その瞬間、俺達がいる白い部屋の壁が消えたのだ。
伊月 悠
は?マジかよ!?
俺の後ろを見た悠が俺の手を掴むと部屋の中心へ。
周りからは悲鳴が上がり、誰もが白い床を走り回っている。


今日は紅い満月で紅い光が白い床を紅く染めた。
俺も顔を上げて見回すと大人、大人、大人。
三浦 友哉
囲まれてた?なら、この箱は最初から未成年の保管箱ってことかよ!
男子
うわっ、大人だ!!!
大人達は俺達未成年をじっと見ている。
女子
早く逃げないと!!
そこで1人大人達の方に突っ走った女子。
そんな女子を大人は容赦なく切りつけ、銃で撃ち、ピラニアのように女子に群がった。
女子
きゃあああぁぁぁぁぁ!!!!!
その光景を見て、みんなが混乱状態になる。
すると、何処からか大声で…
暁月 璃紅
囲まれているなら大人に向かっても今のように殺されます!!中心に集まってください!!!
暁月さんの声が聞こえ、近くの未成年達は顔を合わせると中心に集まり出した。
動いた1人を見て、また1人、また1人と動き、部屋だった場所の中心にみんなが集まる。
それを見た大人は…
男性
ちっ…せっかく、混乱してこっちに来たやつから殺してやろうと思ったのによ…要らねーことを考えるやつがいやがる…
大人達の方を見ながら後ろに下がってた俺は後ろを見ていなかったので誰かとぶつかった。
三浦 友哉
あっ、ごめんなさ…って、アイ?
アイ
……。
フードを被り、布で顔の上半分が見えない。
顔を上げたアイは少し微笑み…
アイ
今までありがとう。
そう俺に告げると狐の面を付ける。


そんなアイの心は…


本心を隠すような黒い霧で覆われていた。
でも、そんな闇の中に何かがいるような気がする。


驚きに何も言えずにいると、アイは人の間をスルスルと歩き見えなくなった。
三浦 友哉
"今まで"…?
会ったのは昨日なはず。
なのに、"今まで"ってどういう意味だ…?


それにあの心は……
男性
かかれ!生き残るのは俺達だ!!!
男性
早くしねーと!!!
俺達に向かって走り出した大人達。
そんな中、前に出たのは月の宿で琥珀と名乗っていた青年とアイだった……。
























夜霧 真
……。
大人達がこっちに走ってくる。
僕はフードを脱いで空に浮かぶ血のように紅い満月をじっと見つめた。
布で目は隠れているけど、普通に前は見える。
僕の瞳に映る紅い月。
ドクン…ッ……ドクン…ッ………
心臓の音がうるさいほどに聞こえてくる。
次の瞬間、頭が潰れそうなほどの激痛が走る。
夜霧 真
ゔっ……
よろけそうになったのを踏ん張ると楽になった。


地面を見ると、足元に咲いていた花が種に戻って、その隣の双葉が育ち花が咲いた。
頭にあの村の光景が浮かぶ。
意味の分からず暴力を受ける日々。
暗くて汚くてろくにご飯も食べれない日々。
そんな環境を作ったのは…大人。
大人なんて……
夜霧 真
……全員、死んでよ。

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