09/10 00:00
To:GM
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※全国の中学生から29歳の人が対象です
※24時間以内に命令に従いなさい
※命令に背いた場合には罰を与えます
命令:成人の者は未成年者を1人以上殺せ。
背中に固い床を感じて、目を覚ますと真っ白な天井が視界に入った。
部屋はかなり広く、他の人達も横たわっている。
絶対にDEATH GAME対象者じゃなさそうな幼稚園児までいる。
大人がいない未成年者だけの部屋…?
スマホを見ると、昼の14時。
何でこんなに寝てたんだろ……。
確か…アイに命令のことで相談してたら、いきなりアイが倒れてそれで近寄ったら俺も眠くなって……
それで今になるのか…。
周りを見た感じ、外には出られない。
なら、外に出れるまで待ち続けるだけになる。
未莉ちゃんが近寄ってくると俺の手を握る。
そう話していると、未莉ちゃんが何か握っているが見えた。
未莉ちゃんが俺にくれたのはコンタクトケース。
中を見ると、透明なレンズが入っている。
言われた通りにレンズをつけてみる。
つけて、顔を上げると…
未莉ちゃんの胸のあたりに、キラキラとした虹色の宝石のようなものが見えた。
未莉ちゃんが不思議そうな顔をして首を傾げると、宝石の色が紫に色に変わった。
パッと周りを見ると、他の人達も胸のあたりに様々なものが見えた。その多くがハートでハートには顔のようなものがついている。
………気持ちが分かるってそういうことか。
何となく分かった。
簡単に言うと、心を覗くようなイメージ。
角に座り怖さで泣く子は心も泣いている。
友達を見つけて話す子の心は警戒心を抱いている。
顔に表さない感情が心にハッキリと出ていた。
未莉ちゃんの心は宝石の形で、常に明るく様々な気持ちを持っているのかな…。
少し歩き回ってみると、悠や瑚子達が固まっているのが見えた。
俺達に気付いた瑚子が手を振る。
俺の目には瑚子の心は山だった。
俺を見つけた瞬間に、山の木々の間から鹿が現れて耳をパタつかせる。
その横を見ると、悠がいる。
悠の心には門が見えた。門の前には悠が立っていて開くのを待っているように見える。
図星だったのか、門の前の悠の体はビクッと震え、実際の悠からは掠れた声が聞こえる。
そこまで言ったところで俺は言葉を止めた。
『人は図星を突かれるとねキレたり、心が折れたりするから注意が必要なんだよ。』
いつしか真がそんなことを言ってた。
勘が鋭いのか、真はよく人の考えていることを当ててしまうことがあった。
その度に他の人と喧嘩になっている。
顔を背ける悠を見て、俺は朱雀さんが言ってた言葉の意味と真の苦労が分かったような気がした……。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。