キイィィィッ〜〜〜!!!!!ドンッ……!
僕は目の前の光景に目を疑う。
な、んで……?
歩道に突き飛ばされた僕。
道路を血で赤く染めていくのは…未莉ちゃんのお母さんだった…。
道路はスグに真っ赤に染まった。
辺り一帯に物凄く濃い血の匂いが漂う。
急ブレーキでタイヤの焦げる臭いもする。
周りの悲鳴、スグに声をかける人。
"あの日"が脳内を駆け巡る。
未莉ちゃんが道路に出て、お母さんのところに行くと、必死に揺する。
まだ意識があった未莉ちゃんのお母さんは、途切れ途切れに何かを伝えると力尽きた。
吐き気に慌てて、僕は口を押さえる。
あの日…同じ……。
また…目の前で人を…未莉ちゃんから見たら大切な家族を……
すると、運転手が降りてきた。
20代後半といったところだろうか。
助手席から顔を出す女。彼女だろう。
男はそう言うと、運転席に乗り込み、バックをすると遺体を潰さないようにして発進。
僕は無理矢理、喉までこみ上げたものを飲み込んで胃に戻すと、無言で立ち上がった。
赤信号を無視して、未莉ちゃんのお母さんを背負うと空いてる手で未莉ちゃんの手を引き横断歩道を渡る。
渡ると、未莉ちゃんのお母さんを寝かせた。
俺が手を伸ばす前に真がさっき話していた子の母親が真の手を掴み、引っ張った。
俺も、明神や瑚子達も何も言わない。
そんな中、女の子の質問にポツリと真が…
ん…?
"アイツら"という言葉に俺は引っかかる。
普段の真は誰かのことを"アイツ"と呼ぶことはない。
そう言うと、真はフラリと立ち上がる。
珍しく明神の顔に少し焦りが浮かぶ。
歩きだそうとした真の腕を俺は掴んだ。
笑顔でそう話すが、目は全く笑っていない。
瞳は深い闇があるようで、底が見えない。
その様子に俺の心臓が少し早く鳴りだした。
振りほどかれ、真は走ってスグに消える。
約1分後、近くで爆発音が聞こえていた…。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。