第10話

隣のクラスの
33
2018/12/05 13:15
(まだ、誰もいない…。)

朝、机の中に入れてあったメモ通りに、放課後に3階の空き教室に来た。
しかし、まだ教室には誰も来ていなかった。


(差出人不明って、結局呼び出したの誰なんだろう…。)

つぼみちゃんと梨乃ちゃんには遅くなると悪いので、先に帰ってもらった。


(そもそも、もし春芽くんなのだとしたら、普通、直接3階の空き教室に呼び出すよね…。だったら誰…?)



その時、教室の扉がガラガラっと開く。
振り返ると、
麗奈
あぁいたいた。
(誰…?)

少し嫌味っぽい話し方に少し違和感を感じる1人の綺麗な子と、その周りに2人の子がいる。

(あの真ん中の子、どこかで見たことがあるような…。)


麗奈
は・じ・め・ま・し・て。
孤独の花村さん。
一音一音強調して話す彼女の話し方は完全に私に悪意がある感じだ。



(思い出した。隣のクラスの加持 麗奈(かじ れいな)さんだ。
確か、学年でもトップクラスに綺麗な子で有名な…。)
彩葉
あの…私に何か用ですか。
彼女とその周りの子達の態度から、私の直感が、早くこの場から立ち去った方が良いと告げている。
麗奈
単刀直入に言うね。
春芽陽くんとはどういう関係なの?
(は?春芽くん…?)
彩葉
どういう関係って…幼稚園の時の同級生ですけれど…。
麗奈
ふ〜ん、本当に?
彩葉
本当に、ってどうしてですか…?
麗奈
だって貴方、彼が転校してきてから急に活発的になったじゃない。
だから、彼のことが好きなのかと思って。
彩葉
別にそんなつもりは…。
麗奈
それとも、春芽くんが貴方のことが好きだとでも思っているの??
麗奈の取り巻き
うっわぁー、自意識過剰じゃん。
彩葉
そんなこと思って…!
(そんなこと、思ってるのかもしれない…。
ずっと前に、心の声を聞いただけなのに、まだ私のことが好きだって思い込んでるのかとしれない…。)
麗奈
大体、あんたみたいに変な能力もった化け物のこと、春芽くんが好きになるわけないじゃない!ねー?
“変な能力をもった化け物”……。


(やっぱり、私みたいな化け物が普通に過ごせるわけなかったんじゃ…。)


…彩葉は化け物なんかじゃねーよ。
彩葉
!!春芽くん…!?
麗奈
えっ、どうしてここに春芽くんが??
普通に廊下から声聞こえてくるし、鍵も閉まってなければどうしてもこうしてもないと思うけど。
…彩葉、大丈夫か?
すっ、と差し出された手に応えることが出来ず、ただ、じっと彼を見ていた。
もっかい言っとくけど、彩葉は化け物なんかじゃない。
俺の好きな人のこと、馬鹿にすんな。
…行くぞ。
応えることが出来なかった手を彼が掴み、その教室を後にする。


(助けてくれたの…?)

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