第41話

それでも貴方に見つけて欲しくて-宮侑-①
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2021/02/04 12:00

20××年 東京オリンピックの開催_____


「このまま体を酷使すれば将来、二度と
自分の足で立つことは叶わないでしょう。」


やっとここまで来た。もう後戻りなんて出来ない。


_____さあ、最後の祭りだ。


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私が ''宮兄弟'' の存在を知ったのは、中学2年の時。

正直言って私はバレーに飽きていた。

チームは強くも弱くもない平凡、

勝ちにいこうというやる気はあっても

口だけで努力しようとする者は誰もいなかった。

そんなチームにうんざりしてた。

でも、私は見つけてしまった。

宮侑さん__。あんなに楽しそうにバレーに

打ち込む人、バレーに紳士に向き合う人。

(私、あの人のボール打ちたい.......!)

''
そこからは単純だった。

嫌いだった勉強も、やる気のなかった部活にも

精を出して努力を惜しまなかった。

(なんだ、私ちゃんとやれるじゃん。)

高校も県外で遠いけど迷わず稲荷崎高校を選んだ。

だけど、私が高校1年生として入る時には

彼はもう卒業してしまった。


どうしても、どうしてもあのボールを、

彼の手でセッティングされたボールを打ちたい。

(高校で叶わないなら......同じ場所へ行くまでよ)

幸か不幸か、彼はプロ選手になり、

MSBYブラックジャッカルというチームに籍を置いている。

彼の居場所は分かるんだ、あとはそこまで登りつめるまで。

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『もっとちゃんと上げてよ!!』

何度目だろう、この冷ややかな視線、

コソコソとされる耳打ち。

『今のはフォロー出来たでしょ!』

せっかく頑張って入った高校も、

強いのは男子バレー部の方で女子バレー部は無名も無名。

同じ高校であれば、接点は作れると思ってた、

でも私は ''女'' で彼は ''男'' 。 プロ選手の彼に

ボールをあげてもらいたければ、同じ立場で

隣に立たなければならないのだ。

私は入部してすぐにスタメン入り、

パワーもテクニックも、先輩に劣らず戦力になった。

試合でも個人だけ見れば好成績を残していた私は

小さいけれど雑誌に取り上げられるほど注目、

期待されていた。

(私はもっと上に行きたい....宮選手に気づいてもらうんだ)

焦りからか周りとの温度差は一目瞭然。

やりにくい事この上にない、それはあっちも同じ。

このやりにくさを抱えたまま私たちは2年に進級した。

''
宮side

「なぁサム、見てみぃやこれ」


治「なんやねんツム。お前の特集なんて見たないで」


「ちゃうわ!!この高校生女の子、稲荷崎やで」


治「へぇ、女バレの方か、

珍しいなツムがプロ選手じゃないやつに興味持つの」


「別にええやろ!母校やしな、

男バレには面白いやつ居らんみたいやし」



うちの女バレって強いイメージないけど、

これでどこまで行けるか、やな。
''
「ナイスキー!」

いつも通り飛んでいるはずなのに、地面を蹴って

空中にいるはずなのに。

(..........低い。)

明らかに飛べてない。いつもと変わらないのに。

違和感に戸惑いながらも試合は進み、

結果は2回戦で敗退となった。


モブ「どうしたん、調子悪かったみたいやけど」

『ううん、いつも通りだったよ。ただ連絡が足りなかった』

モブ「そっか、そうやな。あなたの口癖やもんな、

『もっと上へ』って」


試合が終わってからは何も不自由なくて、

試合中を疑うくらいピンピンしてた。

それでもこれを理由に「勝てませんでした」

なんて言いたくないから病院には行っておこう、一応ね。

''
医師「~~~~~障害です。」


『.....え。』


医師「この病気は心理的要因が

身体症状体の領域に転換されるというもので__」



頭をガツンと殴られたような衝撃、説明されている症状も

自分のことなのに信じられず内容が入ってこない。


医師「このまま体を酷使すれば、

自分で立つこともままならないでしょう。」


『そんな...っ。』

立つことができない。

それは一生バレーボールが出来ないということ。


『あと何年ですか』


医師「はい?」


『あと何年なら、自分で立っていられますか』


医師「それを聞いてどうするつもりですか。」

「医師としては貴方に辛い道を進んで欲しくないんです...」

「内容によっては、止めますよ。」


『私には目標が、夢があります。』

『残された時間があるのなら、それに賭けたいです。』

『その後がどんなに辛くても』


_________________
ゆん
私も、体が壊れても
目標、夢だけは諦めたくないね。

まだまだ続きます!
重いかな〜。
苦手な方はごめんなさい!
明るいのはどうにも難しくて...
ゆん
考えてはいるけど....
頑張ります笑🙇‍♂️🙇‍♂️
ゆん
ではでは、次も見てくださいね〜
次はどうなる事やら。

前向きな あなたちゃんを
応援してあげて!笑
ゆん
❤と⭐してってね!




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