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第1話

初めまして。
82
2018/10/26 09:10
入学して少しクラスにも慣れてきた5月の初め、私は授業が終わり友達である梓と話していた。
新崎 千智
ねぇ!この服可愛くない?
残っている人が少ない教室で
友達である梓の彼氏、高松幸希くんを待ちながらファッション雑誌を読んでいて
可愛いワンピースが載っていたので
指を差しながら梓に首を傾げながら聞いてみる。
東雲 梓
このブランドの服って近くのショッピングモールに入ってたよね。
見に行ってみる?
と私の持っていた雑誌を見ながら言ってくる。
新崎 千智
え?!行きたい!行きたいっ!
梓の言葉に私はコクコクと勢い良く頷きながら上記を述べた。
最近は彼氏、彼氏で買い物に付き合ってくれていなかったため
かなり嬉しい返答だった。
東雲 梓
じゃぁ…、ダーリンが来たら行こっか。
やっぱり幸希くん付きか…。
なんて思ったが口には出さず
苦笑いを浮かべて話しをしていると
教室のドアが勢い良く開く。
高松 幸希
お待たせ、ハニー。
東雲 梓
もぉーんっ!
遅かったじゃない!
教室に入ってきたのは
梓の彼氏の幸希くんだった。
入ってきたのが自分の彼氏だと分かれば
梓の目はハートになり抱きついている。
仲が良いのは嬉しいが
もうちょっと考えて欲しいものだ…。
槙島 智也
幸希ー?
幸希くんの後に少し遅れて入ってきたのは
この1ヶ月で有名になった
槙島 智也くんだった。
「幸希くんと智也くんは中学の時からの
仲良しだって梓が言ってたな…。」
なんて考えていれば智也くんと
目が合ってしまった。
新崎 千智
あっ、初めまして…だよねっ!
私は新崎 千智です!
ペコリと頭を下げ自己紹介をする。
しかし智也くんは
私をじっと見るだけ見て何も話さない。
何か変な事を言ったかと不安になっていると
槙島 智也
俺は隣のクラスの槙島 智也。
隣のクラスにこんな可愛い子がいるなんて知らなかったよ。
なんて言ってきた彼の言葉に固まる私。
「どう返せば…」なんて
考えていると私の様子が変と気付いた
智也くんは
槙島 智也
ははっ
そんなに固くならないでよ。
これからよろしくね?千智ちゃん?
初めて可愛いと言われた。
もしかしてこれは
運命の出会い?!なんて頭の中で
考えているとまた智也くんが口を開く。
槙島 智也
でも、胸やスタイルなら
梓ちゃんの方が好みだなー。
新崎 千智
はい?
聞き間違いだろうかと耳を疑った。
しかし彼の顔を見ると首を傾げてこちらを見ていたため聞き間違いでは無いとわかった。
見た目はカッコよくてタイプなのに
急に発した失礼な言葉にカチンと来た私は
新崎 千智
初めて話すのに失礼でしょ?!
と睨みつけながら叫ぶ様に大きな声で上記を述べる。
すると梓も幸希くんもこちらを向くが
今はそんな事気にしてられない。
確かに胸もそんなに大きく無くて
身長も低くて、スタイル良いとは言えないが
と思いつつ目の前にいる彼を見ていると
槙島 智也
ぷっ…!
マジで面白いね、千智ちゃん…だっけ?
こっちは怒っているのに
何が面白いのか笑い出し
口元を片手で覆いながら私に近付いてきては
槙島 智也
気に入った。
俺、千智ちゃんの彼氏に立候補するね?
イケメンに立候補されて
千智ちゃんも嬉しいでしょ?
と満面の笑みで首を傾げながら言ってくる智也くん。
え?今、彼氏に立候補するって言った?
私の空耳か?ってか立候補って
あんたみたいな人予選落ちだっつーの!
なんて考えていれば
梓と幸希くんから拍手が聞こえ
東雲 梓
千智すごいじゃんっ!
これは彼氏出来るチャンスだよ!
高松 幸希
新崎さんも智也も頑張れー。
何故か私が立候補を許可した雰囲気になっている…。待て待て。私何も言ってないっ!
新崎 千智
槙島智也…。
小さく彼の名前を呟いた後、私は大声で叫んだ。
新崎 千智
あんたなんて大っ嫌い!
これが私と彼、槙島智也の初めての会話。
何があろうとこの人の事は好きにならないとこの日、自分の胸の中で誓った。

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