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第25話

ヨルのいない日常
2,433
2022/06/24 12:58


あの日、私は吸血鬼たちの学校から
逃げるように家に帰った。

私が泣きはらした顔で家に帰ると父は説教もせず
ただ一言「心配したぞ」とだけ言った。


おい、大丈夫か…?
もしかしてまた眠れてないのか?
何か悩みがあるなら…
佐藤みくる
佐藤みくる
大丈夫だよ
行ってきます
朝ごはんは?
佐藤みくる
佐藤みくる
いらない
そ、そうか
気をつけてな

それからまたいつもの日常が戻ってきた。

一つだけ変わったのは、
大好きだったヨルがもうどこにもいないってこと。

明らからに落ち込んだ私を気遣ってか、
親友のはるかは何も聞かずショッピングや
カラオケに連れて行ってくれた。

でも、ぽっかりと開いてしまった心の穴は
誰にも埋められなかった。
真柴はるか
真柴はるか
塞ぎ込んでもう1ヶ月だよ…
そろそろいつものみくるに
戻ってほしいな~なんて…
佐藤みくる
佐藤みくる
うん、頑張る…ね
真柴はるか
真柴はるか
無理に頑張る必要はないんだけど…
「色々やってみるよ!」って言ってた
あのときの意気込みはどこ行ったのよ…
佐藤みくる
佐藤みくる
…うん
真柴はるか
真柴はるか
…よし!もうこうなったら
強硬手段だね!!
今度の土曜は映画でも行こ!
とびきりお洒落してさ!
渋谷駅前で待ち合わせ
わかった!?
佐藤みくる
佐藤みくる
うん…
心配かけてごめんね
真柴はるか
真柴はるか
ごめんよりありがとうが先でしょ!
そう言ってはるかは私にデコピンした。





​────そして次の休日。

私は駅前ではるかを待っていた。

だけどそこに現れたのは
クラスの人気者、狭間くんで……。
狭間ユウ
狭間ユウ
お待たせ
佐藤みくる
佐藤みくる
え!?
狭間ユウ
狭間ユウ
ごめんね
はるかちゃんから聞いてない?
実は…今日は俺のためにセッティング
してもらったんだ
佐藤みくる
佐藤みくる
どういうこと?

スマホを取り出すとはるかから
メッセージが届いていた。
真柴はるか
真柴はるか
騙すようなことしてごめんね(>人<)
でも、男を忘れるためには
次の男でしょ?
今度絶対埋め合わせするから( ˙³˙)
佐藤みくる
佐藤みくる
は、はるかーー!

なるほど、強硬手段とはそういうことか。

そういえば誘われたとき、
何か意味深な笑みを浮かべていた気がする。
狭間ユウ
狭間ユウ
こうでもしなきゃ
来てくれなかったでしょ?
俺、嫌われてるみたいだし
佐藤みくる
佐藤みくる
そんなこと…
狭間ユウ
狭間ユウ
あるでしょ?
散々いじめちゃったし
佐藤みくる
佐藤みくる
まぁ、好きではないかな…
狭間ユウ
狭間ユウ
うっ…!
そうハッキリ言われると
流石にきついな
仕方ないけどさ…

私の言葉にショックを受けたのか
眉尻を下げた狭間くんが少しだけ可愛く見えた。
狭間ユウ
狭間ユウ
ね、今日だけお願い!
俺とデートしてくれない?
みくるちゃんは気分転換ってことで
気楽に過ごしてくれていいからさ!
狭間ユウ
狭間ユウ
なんでも奢るし
行きたいところあったら
連れてってあげるし
なんなら10分5千円とか
お金を払ってでも…
佐藤みくる
佐藤みくる
ぷっ!あはは…
流石にお金は受け取れないよ
狭間ユウ
狭間ユウ
やっと笑ってくれた
佐藤みくる
佐藤みくる
え?
狭間ユウ
狭間ユウ
ここ最近みくるちゃん
ずっと落ち込んでたから…
やっぱり笑った顔が一番いいよ
佐藤みくる
佐藤みくる
そ、そうかな


知らないうちに色んな人に心配かけてたのかも
しれないな。

はるかにはいつも心配かけてるし、
その気持ちを台無しにはしたくない。
佐藤みくる
佐藤みくる
わかった!
じゃあ今日は一日
よろしくお願いします!
狭間ユウ
狭間ユウ
やった!!よっしゃああ!



大型犬のように飛び跳ねて喜ぶ彼に驚いたけど、
なんだか少しだけ気持ちが軽くなった。

それから2人で、はるかと見る予定だった
映画を見たり、特大パフェが有名なスイーツ店
に行ったりして渋谷を満喫した。
狭間ユウ
狭間ユウ
次どこ行こっか?
今度は服とか見に行かな…
佐藤みくる
佐藤みくる
あれ…?


何気なく街を散策していた時だった。

黒いフードを被った人影が路地裏に消えていった。

顔ははっきりと見えなかったけど、
それが誰なのか、私にはわかる。
佐藤みくる
佐藤みくる
ヨル!
狭間ユウ
狭間ユウ
みくるちゃん!?

なぜか勝手に身体が動いて路地の方へと駆け出す。
佐藤みくる
佐藤みくる
ヨル…ヨル!
狭間ユウ
狭間ユウ
待って!!

狭間くんは走り出した私の腕を掴んで
強引に引き止めた。
佐藤みくる
佐藤みくる
放して
狭間ユウ
狭間ユウ
嫌だ
佐藤みくる
佐藤みくる
放してってば!
今そこにヨルが…
狭間ユウ
狭間ユウ
嫌だ!!放さない!
俺はみくるちゃんが好きだから!
叫ぶように告げられた想い。
彼は今にも泣きそうな顔で私を見つめていた。
狭間ユウ
狭間ユウ
かっこわりぃ…
こんな場所で言うつもり
なかったんだけどな
佐藤みくる
佐藤みくる
狭間ユウ
狭間ユウ
みくるちゃん、俺はキミが好き
だからもうこれ以上
苦しむ姿なんか見たくないんだ
狭間ユウ
狭間ユウ
今まで色々ちょっかいかけたのも
振り向いてもらいたかったから…
でもキミはいつもあの吸血鬼しか
見ないから
佐藤みくる
佐藤みくる
狭間くん…
狭間ユウ
狭間ユウ
みくるちゃんといる時だけ
俺は人でいられる
半分吸血鬼だってことも
忘れられるんだ
お願い…みくるちゃん
佐藤みくる
佐藤みくる
ごめんなさい
狭間ユウ
狭間ユウ
はは、あっさり振るんだね
もう少し考えてくれても
いいんじゃない?

だってさっき気づいたんだ。

いくら他の人で心の穴を埋めようとしても、
ヨルを一瞬見ただけでヨルへの気持ちが
溢れ出してしまった。

私はどうしてもヨルが好きなんだ。

たとえどれほど時間が経ったって
その気持ちだけは変えられない。
佐藤みくる
佐藤みくる
私の吸血鬼はヨルだけだから
狭間ユウ
狭間ユウ
そっか…
でもまだ好きでいていい?
気持ちってそう簡単に
割り切れるものじゃないから
狭間ユウ
狭間ユウ
みくるちゃんが
一番わかってると思うけど

そうだ。

私もこのヨルへの気持ちだけは
どうしても消すことはできない。