シルク視点
カーテンの隙間から差した太陽光によって、気怠い一日が幕を開ける
まだぼうっとする頭に光が優しく当たる
スマホを見ればダホから企画のLINE
…なんとなく、今日は返す気になれない
理由、なんて
分かりきってる事だけど。
今日も、酷く優しく
日が身を包んでいた。
マサイの家に行くとダホがいつもみたいに呑気な様子で不在を伝える
そうか、と目を見れずに答える
俺から離れ、酷い嘘を吐いたくせに、
向こうに離れられるのは、...と思う自分をひた隠しにして
マサイ、意外な名前が出てきた事には少し驚く
まあでも、どうせモトキが乞いたか、その逆か
申し訳ないけどンダホには関係ない事だから、言えないけど
ニコニコの人懐こい顔から感じる親和力
きっといつもなら笑ってた。
だけど
1ミリも見えない、...有る訳無い筈の悪意が、
皮肉が、
深く、きつく心に刺さった。
何の気なしに言ったであろう言葉が、
まるで、
もう月を見ることが出来ない
そんな風に聞こえてしまって
好きだから、心から愛してるから、
...離れたのに
そんなの、既成された事実みたいに
月と太陽は元から一緒には居られないように
酷く、月がかけ離れて行く
ずきずきと痛む心を隠すように深呼吸して、尋ねる
月と太陽は、一緒に居られないのか、と
嫌という程、まだ
...一生、太陽は俺を睨み付けていた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!