花火が打ち上がる最中、俺はその場を抜け出した。
「あれ?藤井くんは?」
「一緒に花火見てたよね?」
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流星)あなたちゃんおる?
場所を移動してなければ、まだここに居るやんな?
うっすらと明かりが灯る放送室へ、足を運んだ。
‥‥ふふっ、寝とるやんw
手元だけを照らすスタンド照明の下で、腕を枕にし眠るあなたちゃん。
外に光る花火は、薄暗いこの部屋を鮮やかに照らしていた。
あなた)先輩‥‥、、
流星)ん?‥‥
空から視線をあなたちゃんへ移すと、彼女はまだ眠ったままだった。
‥‥寝言?w
疲れたんやろなぁ。
最近ずっと、動き回っとったし。あのカフェにもずっと居ったしw
あなた)‥‥先、輩‥‥ごめんね‥
そう呟くあなたちゃんの頬には、光の筋が流れていた。
明らかに、俺のことやない“先輩”を呼ぶあなたちゃん。
溢れた涙を拭おうと、触れた頬に気づいたのか、ゆっくりと目を開けた彼女は俺を見て飛び起きた!
あなた)わっ、流星先輩‥?!///
流星)ふふっ大丈夫?また顔真っ赤やしw、あとそれ、‥‥
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。