その日から、智くんと目を合わせるのが気まずくなって、会話も、思うように出来なくて‥‥。
先に退院した私は、彼が学校に来るのを待ちわびていたのに、
会わなくなった日々が続いたある日、彼が他の学校へ転校したと聞いた。
私の机に 1通の手紙を残して、どこかへ行ってしまった智くん。
手紙には、
「ずっと渡そう思っててんけど、直接渡せんくてごめんな。
いらんかったら、捨ててええから。」
この短い文と一緒に、あのペアリングが入っていた。
付き合ってたわけじゃない。
だけど、私は智くんが大好きだったから‥‥。
もう逢えない という現実を突きつけられたようで、
私の心は暗闇へと進んでいった。
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智母)ふふっ落ち着いた?
あなた)はい‥ありがとうございます
ずっと泣いている私を見兼ねて、近くのカフェへ連れて行ってくれた智くんのお母さん。
智母)今でもあなたちゃんのこと、ずっと気にしてるのよ?
あなた)智くんがですか?‥‥
智母)誰かと電話してる時にね、「あなたは元気?」とかそんなことばっかり聞いてたのよw
智母)暇なとき、いつでもいいからお家いらっしゃい!1人じゃ不安なら、お友達でも誰でも連れてきていいから!
智母)あなたちゃんも、智洋とお話ししたいでしょ?
そう言って渡されたメモ用紙には、家の住所が書かれていた。
智母)急に引き止めちゃってごめんね?
あなた)いえ、そんな‥!
智母)生徒手帳はもう落とさないようにね?
あなた)はい‥w
智母)今度はお家で待ってるわね!
智くんのお母さんと別れた後、私はバイト先のカフェへと向かった。
涙はもう乾いたはずなのに、
あっくんと淳太くんの顔見たら、また泣いてしまった。
智くんのお母さんにも、ごめんなさいってやっと言えたんだって、
いっぱいいっぱい、お話したんだよって、
今日のことを報告した。
「頑張ったな」って。
「よかったな」って。
2人の優しい言葉に、また心が軽くなった気がした。
私、逃げないでちゃんと 智くんに逢いに行くね。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。