「パシッ!」(叩く)
俺は嬉しすぎて抱きつこうとした。
でもそれはきっと逆効果だったかもしれない。
抱きつこうとする俺を見て小声で喋った。
怖かった。その時の翔也は本気で怒ってた。
俺は怒らせてしまったのだ。
愛する翔也を。
もしかしたら、あるかもしれない。
もしかしたら、、、、、。
きっと俺は朔に気持ちよくされてイキたい一心で迫るかもしれない。朔に身を預けるかもしれない。
絶対にないなんて、言えない。
はじめも絶対にイカないって思ってたけど
結局イこうとした。
結局結局朔に迫った。
結局朔によがった。
結局朔にイカせてほしいと頼んだ。
俺……、最低な事したかもな。
てか、したな。
さっきから最低だってずっと言って来たけど
心のどこかで、翔也は許してくれるって
勝手に思ってた。
勝手に思い込んでた。
俺はもう、翔也と一緒にいる権利なんかねぇ。
俺は…、翔也を傷つけたんだ。
少し、少し、期待した。
心のどこかで翔也が止めてくれるって考えてたから。
でも、そんなのない。
逆にあっさりと俺を見放された、
翔也…。
すっごく傷つく。
すっごく冷たい。
《またな》なんてないのに、
なんで《またな》なんて言うんだろう。
俺の…、翔也が、、、、、。
いや、次は朔か…。
ご主人様は…。
【完】
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!