第71話

怒ってみた結果
4,365
2021/10/18 03:44
こんな写真を人に見せるこたが悪い

ちょっと強気に言った言葉だったけど

戸惑いながら赤くなっていくきょうやの顔を見て、本当に恥ずかしい思いをしたから

たまにはもうちょっと怒ってみようかな、と思った



小「可愛くない」

清「は?」

小「きよって甘え下手だよね」

不貞腐れたような言い方

…何の話だよっ

清「それ今関係ないやん」


俺の言葉に被せて、こたの電話が鳴る

小「…はい」
小「あ、今行きます」

小「市川くんが遅いって言ってるから行くよ」

家に帰ったら4人でゲームの続きをしようと誘われていたから、お互い無言で立ち上がり、無言で移動する

気まずいけど約束してたのに行かない訳にはいかない


しばらく市川くんの部屋で交代でゲームをしてると、こたがトイレに行く

慶「…喧嘩してんのね笑」

清「…まぁ」

三「きよちゃん分かりやすい笑 こたはきよちゃんがゲームしてる時も結構普通に話しかけてるのに、きよちゃんいつもと全然違う笑」

…確かにみなとの言う通りだ

俺がゲームしてると
『あ、それでいっちゃう感じ?笑』
『あー!ヤバいよー!…うわぁぁ!』

いつもより2人の距離も遠くて目が合う事もないけど、画面を見ながら喋るこたの声は普段通りだった

いつもこたがプンプン怒ってる事が多いけど、こたは怒ってても俺に話しかけてくる

だけど今日は俺がこたから離れて座ったし、俺がこたの方を見ていない


ピンポーンとチャイムが鳴り、市川くんが出ていくと

お寿司を手にした市川くんとこたが一緒に戻ってくる

慶「じゃ、俺らはご飯にするから」

俺とみなとは後輩の家で食べてきたのでゲームをする


小「きよ、食べる?」

こたが途中で話しかけてくる

その話し方はやっぱり普段と変わらない

どうせ俺と喧嘩してる事なんて気にしてないんだろう

清「…いい」

いつもは食べるくせに、今日は断ってしまう

俺1人だけ怒ってるみたい…


ご飯を食べ終えた2人と交代すると、みなとは部屋を出ていき、暫くするとパジャマで戻ってくる

清「眠いん?」

市川くんのベッドに入るみなと

三「ん…もう歯磨きしたし寝る…」


清「こた、みなと寝るし、終わりにしたら?」

ゲームのキリが良かったので話しかける

小「えー?みなとはいつも先に寝るし」

清「…空気読めよ」

慶「…まだ大丈夫だよ?」

市川くんがベッドに移動してみなとの傍に座る

みなとが市川くんのお腹に手を回して目を閉じる

…ええなぁ


清「…俺も眠くなったんで戻ります」

市川くんとみなとに声を掛けて部屋に戻る



広い和室が無性に虚しくて

布団を押し入れに引っ張り込んで、狭い空間に入る

…何この敗北感

俺がいつもより怒ってる雰囲気出してるのに

こたは何にも気にしてなくて

怒ってみよう、なんて考えたの自分だけど明らかに空回りしてる気がする

こたには何も響かなくて

残ったのはただただ寂しさだけ

…もう少し気にしてくれてもいいんやない?


約束したのに一緒に寝ないつもりなんかな…

そんな事を考えてると、向こうから足音が聞こえてくる

まだ部屋に戻って10分と経たないから、どうしようと焦って、寝たフリをする事にした

襖を開ける音がして

こたじゃないかもしれないし、と思うけど


小「…押し入れで寝るの?」

こたの声がしてホッとする自分がいる


寝たフリをしてるけど、どうせまだ寝てないのは分かってるだろう

こたが一緒に寝てくれるのか気になってる自分が滑稽だ


小「もう少し奥行ってよ」

そう言われても怒ってしまった手前、今更どうにも出来ない

振り向くことも出来なくて



背中でこたが座るような気配がする

それでも押し入れに入ってくる気配はない

…振り向いたらきっと意地悪な笑みを浮かべて笑うんだろう

今日は振り向きたくない



そう思うのに、このままこたが帰ってしまったら、と思うと


…あぁ、もう!

こんな我慢比べは無理だ

意を決して振り向こうとすると



小「きよ、ごめんね」

清「…?」


振り向くと、こたは叱られた子供ような気まずそうな顔をしていた

小「最近僕、当たり強いよね」

…イヤイヤ期の事言ってんのかな


珍しくシュンとしてるこたを見たら、もう全てどうでもいいと思ってしまう

清「ええよ…それより、こっち来て」


こたの手を引っ張ると、やっと押し入れに入ってくる

待ちきれなくて寝転がる途中のこたに抱きつくと

小「どした?ちょっと待って笑」

清「嫌っ…早くぎゅーしてっ」

小「…やば」

俺の願いは叶わず



寝転がろうとしてたこたが



突然覆いかぶさって唇を奪う

清「んっ…んん…っあ」

小「んっ…ん…きよっ」



あまりに続くキスに、もうあそこは痛い位に勃ち上がっている

清「こた、ここ苦しい…」

こたの手を導く


いつもすぐに応えてくれるけど



小「僕って年下だし、結構きよに好き放題やってるし…やっぱり頼りない?」

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