さとみside
あなたが刺された。
ジュースをコンビニに買いに行ってホテルに戻ると人が群がっていて、パトカーやら救急車が来ていた。
その救急車に担架にのったあなたが運ばれていくのが目に入り、一緒に救急車に乗せてもらい、今、沖縄の大学病院にいる。
あなたは今、緊急手術中で危ない状態らしい
沖縄だというのに、ころん、ジェル、なーくん、るぅと、莉犬が来てくれた。
そして8時間にも及ぶ手術が終わった。
だが、予断を許さない状況のようだ。
ベッドに眠るあなたはピクリともしない。
オレは祈るようにあなたの手をぎゅっと握った。
次の日の朝
まだあなたは静かだ。
ピッピッとあなたの命の音が聞こえてくる。
それだけで安心する。
けど、次の瞬間、ピッピッピッと一定で刻まれていた音が長くなった。心電図を見ると、30、28、22、数字がどんどん小さくなっていく。
すぐに医師たちが病室に駆け込んできた。緊急手術を行うそうだ。
このまま、会えなくなったらどうしよう?
まだ、何もしてあげれていない
あの弾けるような笑顔も見れなくなるのか…?
嫌だ嫌だ嫌だ
居なくならないで…
おいていかないで…
そしてそれからまた手術が終わっても一日会えなくて、
病室に入ると、
オレの大好きな声がオレの名前を呼んだ。
目線を上げると、上体を起こしたあなたが元気そうな様子で笑っていた。
オレはあなたに抱きつきにいった
オレはドアを開けると、一気に病室が騒がしくなった。
そして全員で東京に帰った。
このふたりで笑い合えるのが当たり前だと思わずに、一瞬一瞬に幸せを感じて大切に過ごすことを決めた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!