あれからあんなことを言う人はいなくて、
優しい言葉をかけてくれる人とか
面白い人ばっかりだったのに
心に刺さった言葉の氷はなかなか溶けないままで
お昼の休憩時間になった
楽屋に戻ると、先に休憩に入っていた子が何人かいて
お喋りしながらお昼ご飯を食べていた
輪の中に入っていく気分じゃないから
1人で席に着く
お弁当の蓋を開け、ご飯を食べようとすると
後ろから名前を呼ばれた
振り返るとそこにはお弁当を持っているいくちゃんがいた
いくちゃんはそのまま私の右隣に座って
と言って、すごい勢いで食べ始めた
左から声が聞こえ、驚いて振り返ると
そこにはななみんがいた
私の言うことを無視してななみんといくちゃんは聞いてくる
黙り込んだ私を2人は優しい目で見つめる
1人で抱えるより
この2人になら話した方が楽になる気がして
さっきのことを全て話した
しばらく3人でふざけ合って、笑って、
言葉の氷は少し溶けた
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。