目の前で血を吐いて倒れるモブに拳を振り上げる
"冷酷"いつかそう言われたのを思い出した
そんな思いをかき消すように、トドメをさした
"つもり"だった
振り上げた拳は私の腕を掴んでいるこいつに
阻止された
目を手で塞いでなにかショックでも受けているのか
くだらない、そんな事で私を止めたのか
こいつを見ているうちに目の前のモブは消えていた
逃がしたか、悪いのは向こうなのに
めんどくさい
これだからこいつは嫌いなんだ
まぁいいけどってすぐ笑顔になるこいつ
私が謝った時間返せ
そう言って先々歩くこいつは多分
ショックなんか受けてなかった
初めから止めるつもりだった
こいつの背中にそう聞くと
私の隣まで来て同じ歩幅であるくこいつ
そっと頬にキスすると
うるさい、まだ勘違いしてて
もう少し大人になったら、伝えるからさ
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。