第82話

O__轟
865
2021/04/30 09:16
貴方
いい日ねぇ…
昨日友達に言われた
「あなたの明日はいい日になるよ!」って
その時は嘘でしょなんて言って誤魔化したけど
少し信じている自分がいる
そんな考え事をしながら電車に乗った
電車に乗って、外を眺めながら駅まで揺れる
そんな時
モブ
お姉さんおはようございます
貴方
え、、?
モブ
お姉さん可愛いね、どこ行くの?
貴方
学校ですけど…
モブ
俺も〜(笑)
どこの学校?
何この人…誰?
貴方
あの…
モブ
その制服って清邦?
貴方
え、えっと…
モブ
お嬢様学校じゃん!笑
モブ
だから可愛いんだ〜(笑)
貴方
誰…ですか?
モブ
そんなのいいじゃん!
学校サボって俺と遊ぼ?(笑)
貴方
無理です…誰かも分からないのに…
そう言って掴まれた手を振りほどこうとすると
モブ
いいから着いてこいよ
あからさまに声のトーンが変わった
怖くて近くにいた人に目で助けを求めるけど
目を逸らすだけで助けてくれない
もうダメだ…
轟洋介
なにしてんの
モブ
あ?
轟洋介
だから、なにしてんのって聞いてんだけど
モブ
うるせぇ、部外者は黙ってろ
轟洋介
いや無理やり連れて行くとかバカ?
モブ
お前なんだよ!やんのか!
轟洋介
はぁ…これだから低脳は嫌なんだよ
モブ
この…!
轟洋介
ボタン見ろ、それでもやるか?
モブ
お、鬼邪高…!!
轟洋介
二度とその面見せんなよ
モブ
くっそ…!
私の手を掴んでいた男の子は走って電車を降りた


なんだったんだろ…
貴方
あの、ありがとうございました
轟洋介
気を付けろよ、変な奴多いから
貴方
はい、ありがとうございました
それにしてもボタン1つで怖がるって余程なのかな
轟洋介
なに、ボタンじっと見て
貴方
いや、なんでもないです!
轟洋介
ふーん…
また本を読み始めた男の子
よく見たらかっこいいな
ほんとに今日はいい日だったかも…
轟洋介
なぁ
貴方
はい?
轟洋介
こっち来とけば、また絡まれたらめんどくさいだろ
貴方
いいんですか…?
轟洋介
別にいいけど
貴方
ありがとうございますっ…!
そばに駆け寄って、男の子の隣に並ぶ
思ったより身長が高くてびっくり
轟洋介
どこで降りんの
貴方
鬼邪高地区です
轟洋介
じゃあ一緒だな
貴方
え、そうなんですか?
轟洋介
俺鬼邪高だし
貴方
鬼邪高…?
轟洋介
知らない?
貴方
知りません
轟洋介
ヤンキーの学校
貴方
えっ…?
こんな真面目くんっぽい人がヤンキー…
轟洋介
意外だと思った?
貴方
はい…
轟洋介
そう?
あ、あと一駅で着いちゃう…
貴方
あの、お名前聞いてもいいですか…?
轟洋介
なんで?
貴方
助けて貰ったし、それに…
貴方
また会いたいので…
最後は恥ずかしくて小さな声になったけど
ちゃんと聞こえてたかな
轟洋介
…轟洋介
貴方
轟くん?
轟洋介
あんたは?
貴方
高梨あなたですっ
轟洋介
あなたな
貴方
よ、呼び捨て…?
轟洋介
いいだろ、別に
貴方
じゃ、私も洋介くんって呼ぶ…!
轟洋介
ん、
駅着いちゃった…
もう会えないのかな
轟洋介
今、何時?
貴方
え、えっと7時30分です
轟洋介
学校どこだっけ
貴方
清邦です
轟洋介
送る
貴方
え、でも…
轟洋介
時間あるし
洋介くんは私に近付いて耳元で
轟洋介
あなたが離れたくないって顔してるから
貴方
……!
轟洋介
ほら行くぞ
貴方
待って洋介くん
轟洋介
早く
もう1度隣に並んで2人で歩く
これがいい日の始まり

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