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第4話

今日はオープンしていますよ。
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2020/01/14 15:05


カランッ__



月曜日、俺はきおらさんの元へ向かっていた。


きおら(オーナー)
あっ、春夜君いらっしゃい〜、今日もよく頑張ったね
春夜
こんばんは!昨日ぶりですね!
きおら(オーナー)
おやおや〜?昨日よりも元気になってるね〜?
春夜
久しぶりに、夢を見ることができたんです
きおら(オーナー)
お〜、やっぱりきおらさんの喫茶店は効果ある〜


ニコッと微笑んでくれるきおらさん。


春夜
昨日の夜、きおらさんが実践してるみたいに沢山話をして、心配なことを幼馴染に相談してみたんです。友達と話ができなかったんだけど、何かあったのかな…って
きおら(オーナー)
うんうん
春夜
そしたら、「俺も心配になる時あるけど、学校行ってみなきゃわからないし、俺は自分から話せなかった子に話しかける努力はしてるよ。だから春夜も話しかけてみたら?」って言ってくれたんです
春夜
だから、このあいだ話せなかった友達に声をかけてみて…そしたら普通に話せて…!!
きおら(オーナー)
ほら、相手は案外けろっとしてる時が多いって言ったでしょ〜?
きおら(オーナー)
きおらさんもひとまず安心だよ〜
春夜
はいっ!
きおら(オーナー)
それにしても春夜君って、元気だと性格が凄い変わるね〜?
春夜
そっ…そうですか?
きおら(オーナー)
うん、昨日と印象変わっててきおらさんびっくりしちゃった〜
きおら(オーナー)
ふふ、まぁいいやっ。よし、春夜君も元気になったことだし、今日もきおらさん張り切って料理つくっちゃうぞ〜!
春夜
楽しみです…!
きおら(オーナー)
今日は何作ろうかな〜…


冷蔵庫を見ながら首を傾げる。
昨日初めて出会ったのに、昔から通い続けているかのような安心感があって凄く落ち着くんだよな…。

きおら(オーナー)
そうだっ、今日はアジフライにしようっ。今日新鮮なアジを頂いたんだ〜♪
きおら(オーナー)
嬉しい時も悲しい時も、食べなきゃやっていけないからね〜、沢山食べて良い夢見よう〜っ
春夜
お〜!


頂いたというアジはすでに捌いてあった。

油を熱している間に、茹で卵を作る。
殻をむき潰してからマヨネーズを入れ、隠し味にお酢を入れる。きおらさん曰く寿司酢を少し入れることでさっぱりしたタルタルソースになるそうだ。

タルタルソースができたら小麦粉、溶き卵、パン粉を用意し、アジにくくらせカラッと油で揚げていく。

お皿に盛り付ける時は千切りキャベツを忘れずに。トマトを横に添え、主役のアジフライを乗せれば完成。
タルタルソースを小皿に盛ってプレートに置く工夫はきおらさんの優しさが分かる。きっと自分の分量でソースをかけてねという意味なんだろう。
きおら(オーナー)
今日の味噌汁はアジのアラで出汁を取ったお吸い物です〜、大根を入れてみました♪
春夜
美味しそう…!
きおら(オーナー)
さ、今日も沢山食べて良い夢見てください〜、アジフライ定食です、お食べお食べ〜
春夜
っ!いただきます!


一口食べるとサクッとした食感が口いっぱいに広がる。さっぱりとしたタルタルソースがたまらない。


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▽▽

ご飯を食べた後は幸せな気持ちになる。
きおらさんのご飯は暖かくて、美味しい。


きおら(オーナー)
ふふっ、きおらさんのご飯は美味しいからね、今日は満腹でぐっすり眠れるよ
春夜
とっても美味しかったです!
春夜
…また夢見れますかね?
きおら(オーナー)
絶対見れるよ〜
きおら(オーナー)
夢って不思議だよね〜。知ってる人が出てきたり、知らない場所で自分が何かをしていたり…夢を見ている時は場面がはっきり分かってたのに目が覚めたら忘れてしまってたり…
きおら(オーナー)
星空屋はぐっすり眠れて夢が見れるって評判だけど、僕が夢を見せてるんじゃなくてお客さんが安心してくれたから夢がみれたんじゃないかって思うんだ〜
きおら(オーナー)
安心できるように一緒に解決策をお客さんと考えて、それで安心できなら僕はすっごく嬉しいの
春夜
きおらさんは優しいですよねっ
きおら(オーナー)
え?
春夜
お客さんのことを第一に考えてくれて、悩んでることを一緒に考えてくれる。…それだけでも俺は凄く嬉しかったんです!
きおら(オーナー)
も〜っ、そんなに褒めたって何も出ないよ〜?
春夜
あははっ
きおら(オーナー)
きおらさんは皆の笑顔が大好きだからね〜。笑顔で報告してくれる時はいつも嬉しいんだよ〜っ
春夜
…人を支えるって仕事も良いですね
きおら(オーナー)
うん、幸せな気持ちになるよ〜っ
きおら(オーナー)
そうだ!…春夜君、ここでバイトしてみない?
春夜
っ!!バイトですか…?
きおら(オーナー)
うん、人を支えるっていう大切な仕事だよ〜
きおら(オーナー)
春夜君は明るくて笑顔がいいからお客さんもきっと笑顔になる


きおらさんはスッと立ち上がり、俺の前に来る。そして手を差し伸べ優しい笑顔で言った。

きおら(オーナー)
一緒に星空屋で良い"夢"を見られるようにお客さんをサポートしてみませんか?


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カランッ__



『春夜君!昨日は内容覚えてないけど夢を見たよ、朝すっきりして目覚めることができたんだ!』

春夜
いらっしゃいませ!…っ!本当ですかっ!?ずっと悩んでましたもんねっ、僕も嬉しいです!!


『星空屋は本当に良い店だ。出会えてよかった。…よし、じゃあ春夜君、オーナー。今日も美味しいの頼むよ』

春夜
わかりました!きおらさん!定食一人前お願いします!
きおら(オーナー)
はいは〜い♪
春夜
では改めまして。星空屋へようこそ。おつかれさま、今日も1日よく頑張ったね


きなり色のエプロンを着て、笑顔でお客さんを迎える。
きおらさんの誘いもあり、バイトをすることにした。バイトを初めて数ヶ月。



今日はどんな夢を見るのだろうか。



次は俺がお客さんに笑顔と"夢"をお届けする。


星空屋は月曜日、金曜日、日曜日にオープンしていますよ。良い夢を見て明日も頑張りたいという方、いつでもお待ちしています。






ゴンッ!!




きおら(オーナー)
痛ぁっ…冷蔵庫思い切り開けて頭打っちゃった〜…
春夜
も〜っ!気をつけて下さいねっ?


きおらさんは相変わらずおっちょこちょいです。



完.

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