日曜日の朝は気が楽になる。
一日中自分のしたいことができるし、ゆっくり過ごすことができるからだ。
朝は気が済むまで布団にくるまって、昼は少し勉強、その後は自由に遊んで…。
だけど夜、明日のことを考えると不安にある時がある。
明日はあの子と話せるかな…とか、勉強ついていけれるかな…とか。些細なことを深く考えてしまい、次の日が不安になるのだ。
周りから考えると、なんでそんなことでうじうじしてるんだって思うかもしれないけれど、俺にとっては重大なこと。
俺、時雨 春夜は心配性。
今はまだ日曜日の夕方だから気が楽だけれど、あと数時間後には明日が不安で堪らなくなるだろう。
(そう言うこと考えないようにするために散歩してたのにな…)
寒い冬の夕方、ゆっくりと街を歩く。
カランッ__
微かに鈴の音が聞こえた。
この路地の奥から…?
ここの道はあまり通る人がいない。生まれてからずっとこの街に住んでいる俺だって奥まで行ったことはない。鈴の音が聞こえたのも初めてだ。
でも何故か落ち着く音で、自然にその音が聞こえる方へ向かっていた。
カランッ__
まっすぐ歩いて行くと、暖かなオレンジ色の光の豆電球が道を照らすようになった。
そこからまた少し歩いて横を見ると、さっきと同じオレンジ色の豆電球が光る建物が見えてきた。建物はダークブラウンの木がベースで、オレンジ色の光と合っている。
カランッ__……ガコッ!
ガコッ…?
鈴の音と一緒に変な音が聞こえたような…?
その建物の前に着くと、1人の男性がしゃがんでいた。
その男性はきなり色のエプロンを着ている。このお店のオーナーなのだろうか。
首を傾げて質問をしてくる。
カランッ__
ドアを開けると、暖かな鈴の音が響く。
ニコッと微笑みながら言葉をかけてくれるオーナー。
これは、少しおっちょこちょいなオーナーと少しずつ、少しずつ日々を頑張って行く春夜とお客様のお話し。
オーナーはお客様が良い"夢"を見られることを願っています。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。