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第1話

いらっしゃい、ようこそ星空屋へ。
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2019/12/19 23:46
日曜日の朝は気が楽になる。
一日中自分のしたいことができるし、ゆっくり過ごすことができるからだ。
朝は気が済むまで布団にくるまって、昼は少し勉強、その後は自由に遊んで…。


だけど夜、明日のことを考えると不安にある時がある。
明日はあの子と話せるかな…とか、勉強ついていけれるかな…とか。些細なことを深く考えてしまい、次の日が不安になるのだ。
周りから考えると、なんでそんなことでうじうじしてるんだって思うかもしれないけれど、俺にとっては重大なこと。


俺、時雨 春夜しぐれ はるやは心配性。


今はまだ日曜日の夕方だから気が楽だけれど、あと数時間後には明日が不安で堪らなくなるだろう。











(そう言うこと考えないようにするために散歩してたのにな…)











寒い冬の夕方、ゆっくりと街を歩く。















カランッ__




















微かに鈴の音が聞こえた。
この路地の奥から…?
ここの道はあまり通る人がいない。生まれてからずっとこの街に住んでいる俺だって奥まで行ったことはない。鈴の音が聞こえたのも初めてだ。


でも何故か落ち着く音で、自然にその音が聞こえる方へ向かっていた。












カランッ__













まっすぐ歩いて行くと、暖かなオレンジ色の光の豆電球が道を照らすようになった。


そこからまた少し歩いて横を見ると、さっきと同じオレンジ色の豆電球が光る建物が見えてきた。建物はダークブラウンの木がベースで、オレンジ色の光と合っている。
















カランッ__……ガコッ!















ガコッ…?











鈴の音と一緒に変な音が聞こえたような…?










その建物の前に着くと、1人の男性がしゃがんでいた。
きおら(オーナー)
痛たぁ…
春夜
だっ…大丈夫ですか…?
きおら(オーナー)
ん〜っ、大丈夫大丈夫。よく打つんだよね〜、メニューの看板置いて立ち上がるとドアにかけたopenの板に頭ぶつけるの〜
春夜
そうなんですか…
きおら(オーナー)
えっと〜、貴方は初めて見るお客様ですね。疲れてるような……あ、もしかして明日に不安を持っていますか?


その男性はきなり色のエプロンを着ている。このお店のオーナーなのだろうか。
首を傾げて質問をしてくる。


春夜
えっと…月曜日が不安です
きおら(オーナー)
そうでしょうそうでしょう〜。このお店はね、疲れた人や、話を聞いて欲しい人、何か不安を抱えている人の為にできたお店なんだ〜
きおら(オーナー)
疲れた人にはね、そこのドアに付いている鈴の音があの路地を出た道からも聞こえるんだよ〜
春夜
あっ、だから聞こえたんですね。俺、鈴の音が聞こえてここにやってきたんです
きおら(オーナー)
ほほう〜、じゃあ今日はぐっすり眠れていい"夢"を見れるようにきおらさんがエールを贈りましょう〜
きおら(オーナー)
今日、時間ありますか?
春夜
今日はこの後予定は何もないです
きおら(オーナー)
良かった〜、ではどうぞお入り下さい〜っ








カランッ__










ドアを開けると、暖かな鈴の音が響く。



きおら(オーナー)
ではあらためて
きおら(オーナー)
いらっしゃい、ようこそ星空屋へ。今日もおつかれさま、よく頑張ったね


ニコッと微笑みながら言葉をかけてくれるオーナー。







これは、少しおっちょこちょいなオーナーと少しずつ、少しずつ日々を頑張って行く春夜とお客様のお話し。
オーナーはお客様が良い"夢"を見られることを願っています。

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