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2020/09/18

第1話

ある日、ラジオ番組で。
出逢って半年。
彼が忙しくてなかなか会えない日が続いてた。
LINEでたまに連絡をとるくらいで、細い糸でギリギリ繋がってるような感じだった。
既読スルーも多くなって、もしかして、飽きられたかなと思いながらいた。

彼のいるグループはニューシングルを発売して、オンラインハイタッチ会があったのだけど、彼の枠を取ることができず、推しの枠しか取れなかった。
それを彼は知ってか知らずか、少し拗ねてたのもあるけど。

ある日のこと。
普通に夜のラジオを聴いていた時。
彼は出てなかったのだけど、推しが出てるので聞いてた。

珍しく彼からのLINEが鳴る。
『ラジオ、聴いてる?』
『はい』
『僕、今から出るよ。』
『えっ?』
『聴いてね。』
『わかったよ。』
『また連絡する。』
珍しく事前予告なしの出演…なんだろうと思いながら。

ラジオを聴いてると。
『そういえば、あいつが最近俺に要らん闘志を燃やしてるみたいだよね。』
『あいつに聞いたら、大好きな子がお前推しなんだって。で、推しを自分に替えてみせるって言ったのはいいけど、どうも勝ち目がない。そこで、スタッフと相談したんだけど、今日はガチで戦わせる企画をやります。入ってこーい!』
『どうもこんばんは!』

びっくりする。
いやいや、びっくりするって!

で、彼と推しの対決が始まった。
ってか、これを聴いてる私の気持ちは?(笑)

ラジオで彼が推しと大喜利対決をしてる頃。

何故か彼からLINEがくる。
『勝手にLINE送ってます。ラジオの件で通話しても大丈夫ですか?』
『あっ、はい。』

『はじめまして。突然すみません。』
「いえいえ。」
『ラジオ聞いてますか?』
「連絡もらって聴いてます。」
『今も推しは?』
「変わってないです。」
『即答ですね』
「はい。」
『で、サプライズでこちらに来ていただくか、リモートでラジオに出ていただくことはできますか?』
「はぁ?」
『内緒で。』
「うーん、どちらのほうが彼にとっておいしいんでしょう?」
『来ていただけますか?』
「わかりました、車で向かいます。」
『スタッフとかわります。よろしくお願いします。』
「はい。」
スタッフさんとお話しして、向かう。

車だと30分かからずに着く。
ラジオを聴きながら、放送局に向かっていた。

ラジオの中では一進一退の攻防が繰り広げられてた。
途中、違うコーナーを挟んで。

でも、合間にLINEが来ないということは、まだスタジオにいるんだろうとわかる。

放送局に着いて、地下駐車場に車をとめる。
警備員さんにスタッフさんの名前を告げると迎えに来てくれる。
「坂井です。」
「じゃあ、ご案内します。」
とスタジオから少し離れたところに通される。

番組では最終対決が始まってた。
最終対決は告白シチュエーション対決だ。
これは推し苦手、彼も苦手じゃないの…。
と思いながら、聞いてた。

黙ってきちゃったけど、良かったのかな。
そう思いながら。

なんか他人事なんだけどな。
推しは完全に趣味に走る、これ、想像どおり。
さすがや、推し。
Twitterでも上々の評判で。

そして、彼の出番になった。
「初めて会ってから半年。僕は…。」
聞いてるとスタッフさんが迎えにきた。
「そろそろお願いします。」
「はい。」

一つコーナーを挟む間に移動、調整室の端にこそっと入る。
リーダーが「無理言ってすみません。」と挨拶。
「と、とんでもないです。こちらこそすみません。」
「事務所には何をやってもいいように許可は貰ってるので、安心してください。」
「ありがとうございます。ただ…私はいいんですが、彼のことよろしくお願いします。」
「わかりました。」
「私はどのようなスタンスのほうが都合がいいんでしょうか?」
「どのように転がってもフォローはします。」

「わかりました。あっ、一つお伺いしてもいいですか?」
「はい?」
「半年前の石川の件って。」
「あぁ、高橋の?あれは俺が。」
「やっぱり、そうでしたか。その時のドライバーが私です。」
「あっ、そうだったの?先輩に適任がいるって。」
「はい。出会ったきっかけはその時です。今でも高橋くんが発案とはとても思えなくて。」
「じゃあ、高橋と同じ会社なんだ。」
「はい。」

「そろそろ、お願いします。」
「はい、呼んだら入ってもらえますか?」
「わかりました。」

「先程の対決なんですが。まず、入ってもらっていい?」
周りのスタッフさんに、ペコリとしてブースに入る。

「えーっ?」
彼はびっくりしてる。
「今回の対決のきっかけを作った人です。」
「よろしくお願いします。」
「えっ、なんで?」
「あっ、俺が呼びました。」
「どうやって?ってか、本物?マジで?」
かなり動揺する彼。

「ごめんね。LINEで連絡くれた後に呼ばれました。」
「まず、彼女紹介して。」
「僕の…大好きな人…で…。」
「俺の友達の先輩にあたる人なんですがね。」
「あっ、そうか。」
「お願いして来てもらいました。」

「お久しぶりです。」
「…久しぶり。」
あぁ、やっぱり拗ねてるなぁ。
「で、結果教えてあげて。」

「はい。まず、前提として、先日のオンラインハイタッチ会に推しのだけ参加して、自分のところに来なかったって拗ねてたのは事実だよね?」
「うん。」

「それはね、あなたのは、枠複数で取ったけど、全部抽選外れたからです。」
「えっ。」
「保険かけた、推しの一枠しか当たらなかったんだよね。」
「そうなの?」
「はい。」
「本当に??」
「伝えたはずだけど、覚えてなかったんだ…。そこからめっちゃ拗ねてたから、どうしようもなかったやん。」
「うん…ごめん。ま…。」
「名前は言っちゃダメ。」
「あっ。そうだね。」

「で、そもそも私の推しに闘志を燃やすのは違うよね?」
「うん。」
「私はとにかく推し見てたら幸せなの。」
「結局、推しは変わってないんだよね。」
「そもそも、推しへの想いとは違うの。」
「それって…。」
「このままでいいんやないの?」
「僕、もしかして振られてる??」
「そうそう、推し変する気ないんだって。」
「えーーーっ!マジか…。」
「というわけで、こいつの負けだわ。」
「俺、カッコいいもんね。」にやりとする推しの笑顔が尊い…。

CMに入る。
スタッフさんなどに感謝を述べてる時のこと。

「まこちゃん、どうしてこうなってるの?」
「私の気持ちは変わらないよ。」
「えっ。」
「推しは変わらないし、プライベートも変わらないよ。」
「そうなの?」
「でも、公にするわけにはいかんやん。だから、推しは変わらないし、振られたってほうに持ってったよ。」 
「よくわかんないよ…。」
「まぁ、またね。お疲れ様でした。」とブースを出る。

CMがあけて、最後のトークコーナーになる。
「さすがにショックだ…。」
「目の前で推しは変わらないって言われて、負け戦を戦ってたようなもんやん。」
「さすが、俺のファンだよ。」
「それにしても、やっぱ恋愛はポンコツやな。」
「もう…傷口に塩塗るなー!」
「ファンの皆さん、見事な斬られっぷりでした。優しくしてあげてください。」 
「では、また来週!」

番組の終わった後、ブースの外にいる私を見て、
「さすが、高橋が仕事のできる先輩って言うだけあるわ。」
「えっ。」
「ラジオ上は、ってか公には推しに負けて恋愛は実らずってことにしようってこと。」
「お前、さすが恋愛ポンコツやな。」

ブースの外に出てきた三人に
「すいません、ご迷惑をおかけしまして。推しの笑顔を間近で見れて、幸せでした。」
とお礼を言う。

「さすが、俺の推しだね。これからもよろしく。」と握手をしてきた推しに
「うわっうわっ、ありがとうございます。」
と握手をした。

それを見た彼は、
「まこちゃん!」また拗ねてる。
「もう…。」と耳元でこそっと「大好きだよ。」と告げる。
「えっ!」
「これまでどおり、プライベートは仲良くしてこう。推しは変わらないけど。」
「…うん。」

ようやく笑顔になった彼。
「まこちゃん、ありがとう。」
「ううん。こちらこそありがとう。推しに会わせてくれて。」
「そんなこと言う?」
「久しぶりに会えて嬉しかったよ。」
「僕も嬉しかった。」
ハイタッチして、ようやく機嫌を直した彼を見て、安心した。
「じゃあ、私、帰るね。」
「うん、また連絡する。」
「バイバイ。」
とラジオ局を後にしようと駐車場に行くと、リーダーに話しかけられた。

「今日は色々とありがとうございました。」
「こちらこそ、色々と。」
「よかったらだけど、連絡先教えて。」
「えっ?」
「別に、キューピットとしては見届けたいなって。」
「そういうことなら…。」
と連絡先を交換した。
「今度、三人でごはんでも。」
「はい。彼のことよろしくお願いします。」
「いえいえ、こちらこそ。どうなるかと思いましたが、ありがとうございました。」
「じゃあ、また。」
「また…。」