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2020/09/22

第7話

駐車場までの道
駐車場へと向かう廊下。
夜も遅くてすれ違う人もいない。

「ごめんね、まこちゃん。」
「でも、仕事嫌がるのって珍しいよね?」
「なんとなく、乗り気じゃなくてさ。」
「どうして?」
「キャパオーバーなんだよね、今も。」
「えっ?」
「まこちゃんのLINE返す前に寝落ちしちゃうし。」
「でも、忙しい方がいいことない?」
「今はちょっと忙しすぎる。」
「そっか…。だから、新番組乗り気じゃないんだね。」
「やるだけのことはやるけどね。」
「うんうん。」

「まこちゃん、駐車場まで手繋いで。」
「えっ?」
「チャージしたい。まこちゃん、足りない。」
「いいよ。」
少し前を歩く彼の手をそっと繋ぐ。
「お願いがある。」
「何?」
「これからもずっとまこちゃんのこと思ってるから。」
「改まってどうしたの?」
「僕、仕事忙しくなると本当にダメダメで。リーダーにも怒られたんだけどさ、まこちゃんのこともだけど、仕事以外に意識が向かなくなるんだ。実家だから、ご飯とかは食べるけど。」
「うん。」

「僕、リーダーが本気出してきたら、勝てない。」
「えっ?」
「多分、リーダーの本気を感じちゃったんだ。」
「なんで??」

「さっき、ミーティングしてたでしょ。」
「うん。」
「あの時、リーダーと二人になっていわれたの、『まこちゃんのこと泣かせたら、俺がまこちゃんを貰うから。』って。」
「えっ!」
「まこちゃん、甘えられるのってリーダーみたいな俺様タイプじゃないかなと思うんだ。僕みたいなタイプじゃだめなんじゃないかなって。」
「私がリーダーにとられてもいいの?」
「ううん、でも仕方ないのかなとは思う。」
「…酷いな。」
涙が溢れてきた。
「僕じゃ、まこちゃん幸せにできないかもって思って。でも、何にもできない。」
「…。」
涙をバレないように拭う。
「きっと、リーダーのほうがいい気がするんだ。」

立ち止まった彼はこっちを振り向くことなく淡々と話す。

「半年、付き合った結果がそれなんだね。」
「うん。後はまこちゃんがきめたらいいよ。」
しばらくの沈黙ののち、
「今まで、ありがとう。」
顔を見ることが出来ずに下を向いたまま、追い越して走り去った。

駐車場の車のところまであと少し。
「まこ!」
後ろから呼ばれて、腕を捕まれて、立ち止まってしまう。
リーダーだった。
俯くままのまこに
「どうした?泣いてる?」
「…。帰ります。」
「泣いてるのにちゃんと運転できないだろ。」
「ううん、もう…。」
腕を振り払おうとするまこを抱きしめる。
「泣き止むまで、こうしてるから。」
それでも、なかなか泣き止まないまこ。
「俺で良かったら、話聞くよ。誰よりも事情知ってるし。とりあえず、車に乗って。」
「うん。」
リーダーは自分の車の助手席のドアを開けてくれる。

「あいつと何かあったんだよね。」
涙がようやくおさまって、ハンカチで目を押さえながら、
「ハシゴ外されちゃった。」
「うん?」
「僕じゃ幸せにできないからって。」
「えっ。」
「あとは私に決めてくれって。」
しばらくの沈黙。

「ほんと、あいつの恋愛ポンコツ半端ないな。」
「私の幸せは考えてくれなかったみたいで。」
「こんないい子、自分から手放すなんて。」
「それも、別れるって言ってはくれないから、タチ悪いの。」

「まこちゃん、あいつのこと好き?」
「はい。」
「俺、ちょっとあいつと話してきていい?」
「えっ?」
「たぶん、まだ局にはいると思うから。」
「はい。」
そういうと車を降りて、どこかへ向かう。


しーんとした中、一人でいるとまた涙が止まらない。
ハンカチを目に当てて、涙を拭いてた。
しばらくすると、LINEが鳴る。
リーダーからだ。
『交渉は決裂しました。あいつ、思ったより頑固。とりあえず戻るから、降りないで待ってて。』
『はい』

戻ってきた彼は、
「もう、あいつあかんわ。」
とだけ、言った。

しばらくして、
「ほんと、久しぶりにいい恋愛してると思ったのに、やっぱ恋愛ポンコツには無理だったんだな。」
「私がポンコツだから、支えてあげることも出来なかったのかな。」
「何言っとるの?女の子、泣かす時点であいつが悪い。…ちょっと羨ましいよ。」
「えっ。」

「まこちゃん、しばらく待ってくれる?」
「はい。」
力なくうなずくまこを見て、
「もしも、次を考えられるようなら、俺のことも候補に入れて。」
「はい。」
「多分、もう一人、君のことを思ってる人いるよね。」
「おそらく。」
「そいつも入れてあげて。」
「はい。」

少し長い沈黙のあと。
「私、帰ります。」
「大丈夫?」
「はい。」
「帰ったらLINEして。スタンプ一個でいいから。」
「…優しいんですね。」
「メンバーのやらかしは僕にも責任あるから。でも、それだけじゃないよ。まこちゃんのことだから。」
「ありがとうございます、遅くまで。」
と言って、車を降りた。

そして、自分の車に乗った。
ゆるゆると出ていった。