僕の服を着たリンナが、からかうような口調で言う
僕からのお願い…それはお互いの服を取り換えっこすることだった
今、僕はリンナのドレスを着て、リンナと同じ髪型をしている
そう、召使の服は、王女のドレスよりずっと軽くて動きやすい
だから……
僕の言葉に、リンナの顔から笑顔が消えた
僕は着ているドレスを見せびらかすかのように、その場でくるっと一回りする
僕は部屋の外に出た
そして、扉を閉じた
扉を開けようとするリンナ
だけど開かない
僕が外側から鍵をかけたからだ
僕は扉から離れ、歩き出した
扉を懸命に叩く音と共に、かすかにリンナの声が聞こえる
大丈夫、大丈夫だよ
僕は「悪ノ娘」 強い女なんだ
だから……
決して、泣いたりしない
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。