目をギュウッと閉じて
絶対に開かない。
怖くて動けない。自分が
情けなくて涙が溢れる。
滲む涙を拭くと、そこには、
私にキスしようとした周ちゃんを、
ガシッとヘットロックを、かけた
風晴君が立っていた。
ミシミシと周ちゃんの体から
音がしたので、慌てて止めに入る。
私から溢れ出た涙を見た
風晴君は、重い右パンチを
周ちゃんの頬に喰らわせると
体が、軽々と吹っ飛び、空き缶の山に
吹っ飛んで行った。
ガシャガシャガガシャン____
周ちゃん、さすがに空気読もうよ。
顔に血管が浮き出るくらい
ムカついて怒っている風晴君に
ボコボコにされた周ちゃんは、
もうこんりんざい陽咲さんには、
近づきませんとお辞儀をして、
風の速さで逃げ帰っていった。
私は、風晴君に心配を
かけてしまったことに、胸を痛めた。
その後も、私は一生懸命
自分の言葉で、起きた出来事を説明
し続けた。
それでも、伝えきれず、無理やり
キスされそうになった恐怖が、再び
思い出したりして、涙もたくさん溢れた。
説明している間も、泣いてる間も
風晴君は、静かに話を聞いていてくれた。
風晴君は、背中をさすって
落ち着かせてくれた。
日が暮れてきた頃、私も
泣きやみ、風晴君もホッとした顔をした。
風晴君は、気まずそうな顔を
すると、はあと重いため息を吐いた。
風晴君は、私に寄りかかると
と、話してくれた。
風晴君は、私の手を握ると
「もう少しそばにいろ」と言ったので
私も、もう少し彼の側にいることにした。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。