すっかり風晴君の背中に
居座り続ける猫ちゃんは、どくきが
ないのか、尻尾を右へ左へと
ゆらゆら揺らす。
猫ちゃんは、そのまま
尻尾を風晴君の顔にぶつけ始めた。
風晴君のくしゃみに驚いた
猫ちゃんが、ビョーンと高くジャンプして
逃げて行く。
そうだった、2人は、記憶を
共有してるんだった。
ちょっと前までは、フレンドリー
風晴君の方が、良いなんて思ってたけど
今は、普通の風晴君の方が
安心して一緒に入れる気がする。
意外と素直に了解してくれて
ホットする。
あっという間に、さっき逃げて行った
猫ちゃんも戻ってきて、さっきより
もたくさんの猫ちゃんが、風晴君の
周りに寄ってきた。
私も、猫ちゃんを撫でながら
つられて笑ってしまう。
こういう時間が、ずっつ続けば
良いと思うぐらい、心があったかくなった。
風晴君といると、不思議と気持ちが
和らぐ。そういう力の持ち主なのかも?
風晴君が手渡したおやつを、
ペロペロと舐める猫ちゃん。
私もその光景を眺めていると、
風晴君が視線に気づき、二イッと
笑った。
むうう、意地悪な風晴君・・・
私が、フンと横を向くと
くすくすと笑いながら、
と、言ってくれたので
私は、「うん!」と、思わず
振り返ってしまった。
自分で言って、少し照れ始める。
食い意地張ってるって思われたかと
思って、口に出したけど、風晴君
意外そうな顔してたから、言わなきゃ
良かったと、しばし反省中。
そして、猫カフェを出た私たちは、
甘いものを求めて、駅前の広場に
向かうことにしたのだった。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!