第19話

19話 言い訳は聞きません
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2020/11/10 10:00
今の風晴君には、何を言っても
私の言い訳にしか聞こえないよね。
なるみや ひなた
なるみや ひなた
ごめん
かぜはる かなむ
かぜはる かなむ
べつに、誤って欲しい
わけじゃないし。
そのわりには、ぜんぜん許してくれそうもない。

どうにか、風晴君をどかそうと
手を伸ばすが、転んだ私の上から
どけてくれる様子がない。
かぜはる かなむ
かぜはる かなむ
あいつも、不運だったよな。
一緒に帰ったら、襲いそうで
怖かったんだろう。
なるみや ひなた
なるみや ひなた
あいつって
かぜはる かなむ
かぜはる かなむ
もう一人の俺
なるみや ひなた
なるみや ひなた
怒ってたんじゃないの?
かぜはる かなむ
かぜはる かなむ
それもあるけど、理性飛びそうだったんじゃないの?
なるみや ひなた
なるみや ひなた
・・・私なんかに?
ギュウウウウ____

口を摘まれ、喋れない。
かぜはる かなむ
かぜはる かなむ
あまり、自分のこと
低く見てると痛いめみるよ?
かぜはる かなむ
かぜはる かなむ
今日みたいに・・・
なるみや ひなた
なるみや ひなた
唇に、優しく口づけを落とす。
私は、動けないあげくに、抵抗できず

ピキーーンと、固まってしまう。
なるみや ひなた
なるみや ひなた
ん!
かぜはる かなむ
かぜはる かなむ
はい、おしまい
なるみや ひなた
なるみや ひなた
っは…
かぜはる かなむ
かぜはる かなむ
目、潤んでる。
可愛い
なるみや ひなた
なるみや ひなた
ひどい
かぜはる かなむ
かぜはる かなむ
知ってる
かぜはる かなむ
かぜはる かなむ
でも、陽咲のせいだよ
なるみや ひなた
なるみや ひなた
え?
かぜはる かなむ
かぜはる かなむ
俺は、陽咲が思ってるほど
いい奴じゃない。
かぜはる かなむ
かぜはる かなむ
たまには、意地悪もするし
怒ることもある。
なるみや ひなた
なるみや ひなた
怒ったから、キスしたの?
かぜはる かなむ
かぜはる かなむ
違う
かぜはる かなむ
かぜはる かなむ
陽咲に、ちゃんと覚えてて
ほしかったから。
かぜはる かなむ
かぜはる かなむ
俺の彼女だって。
なるみや ひなた
なるみや ひなた
ちゃ、ちゃんと
思ってるよ?
風晴君は、私から降りると
首元を、カリカリとかいた。
かぜはる かなむ
かぜはる かなむ
もっと、思って。
陽咲は、自覚薄いから、心配
なるみや ひなた
なるみや ひなた
なにそれ?
かぜはる かなむ
かぜはる かなむ
誰にでも優しいと、勘違いする
奴がいるかも。
風晴君は、私のことを
強く強く抱きしめると、
かぜはる かなむ
かぜはる かなむ
無自覚も良いけど、少しは
気付け…
と、よくわからないことを言った。

こんな、私に、誰がなびくと
言うのだろうか?

風晴君は、心配性かもしれないと
思う。でも、彼氏が、そう言うのなら

私にできることは、なるべく
心配をかけないことだと思うから・・・
なるみや ひなた
なるみや ひなた
わかった
と、理解もしていないのに
そう答えた。
かぜはる かなむ
かぜはる かなむ
怖かった?
帰り道、風晴君は
少し心配したような声で
そう尋ねてきた。
なるみや ひなた
なるみや ひなた
怖かったよ
そう答えると、しゅんと
落ち込んでしまう。
かぜはる かなむ
かぜはる かなむ
どうして、俺の顔は
こんなに怖いんだ?
風晴君は、肩を落としながら
そう呟く。
なるみや ひなた
なるみや ひなた
怖いけど、優しいよ
かぜはる かなむ
かぜはる かなむ
あはは、陽咲って変わってる
なるみや ひなた
なるみや ひなた
あはは、風晴くんほどじゃないよ?
自然と、互いに手を握っていた。

風晴君以外、どうでもいい。
そう思ってるって伝えても、

信じてはくれないんでしょう。
だったら、私は、行動で示せるようにしたい。

誤解されたくない、君以外
必要ない。そう、強く想いながら
握られた手を、キュッと掴んだ。

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