私の言葉なんか、まるで
聞こえてない周ちゃんは、私が後ろに
下がった分、距離を詰めてくる。
パシッと、周ちゃんを
手で押すと、ガシッと腕を掴まれる。
事実とか、関係ない。
でも、風晴君に知られたら、また
悲しませちゃう。
私だけで、どうにかしなきゃ!!
そう伝えれば、諦めてくれると思ったのに、
逆に笑い始めてしまった。
周ちゃん、なに言ってるの?
おかしいを通り越して、ヤバイ
勢い良く走り、風晴君に電話をかける。
ピッ_
スマホを没収され、すぐさま
捕まった私は、腕を周ちゃんに掴まれ
ちょっとの力じゃ逃げれない。
ニコニコ笑ってる周ちゃんを
見て、もう優しい笑顔とは
いえない。怖い、怖い。
これから、何をされるかと思うと
顔色まで悪くなっていく。
そう答えると、ドンと突き飛ばされ
人があまり通らない、路地に転がった私
を押さえつけた周ちゃんが、ギッと睨んだ。
周ちゃんの顔が、近づいてきた。
助けて、風晴君…
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!