やって来たのは、私のお兄ちゃんだった。
反応からすると、このふたりはどうも、お兄ちゃんのことは苦手らしい。
ふたりの女の先輩は、お兄ちゃんや樋口先輩に話しかけることもなく、
どこかへ行ってしまった。
お兄ちゃんは注意だけして、樋口先輩のほうへと歩いて行った。
のん気な樋口先輩は、お兄ちゃんに分からないように私に微笑んだ。
私も急いで教室へと向かった。
* * * * *
──ある休日の昼頃
ピンポーン…
宿題を終え、リビングでごろごろしていると、インターホンが鳴った。
今日は両親が出かけていていない。
そして、お兄ちゃんも今は少し用事で外に出ていて家にはいないため、
今は私ひとりきり…。
玄関に行きドアスコープを覗くと、そこにいたのは、樋口先輩だった!
でも居留守を使うわけにもいかず、ドアを開ける。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!