ラギー「マドル……?あげたって……!裏口入学じゃないスか!!」
学園長、うらやまs……じゃなくて……。
ラギー「何やってんスか!?そんなの、マドルの無駄遣い……」
ミーオ「ラギーと初めてあった日も、オレ、マドル渡したぞ。忘れたか?」
ミーオにそう言われたオレは黙った。
そういやオレも、ミーオにマドルあげるからって言われて家にあげたんだっけ……。
それと同じで、学園長も、ミーオにマドルあげるからって言われて入学を許可したんスね……。
って、考えてみたけど、結構、学園長クズッスね。オレが言えることじゃねえけど。
ミーオ「だから、オレの寮を決めに闇の鏡の所行こうとしたんだけど。その前にラギーに会いたいなーって思ってさ!」
ラギー「あぁ、そうッスか……。どこの寮に入るのか気になるッスね」
ミーオ「そうなんだよ!あらかじめ寮の説明?とかは学園長に説明されてるんだけど、どこに入るか分からないから、ソワソワしてる!」
確かに。見るからにソワソワしてて、頬の熱が上昇しているのがわかる。
ミーオ「ラギーはどこの寮なんだ?」
ラギー「オレは、サバナクロー寮ってとこッス」
ミーオ「あっ!あそこだ!獣人が沢山いる……不屈の精神に基く寮!」
ラギー「そうそう」
ミーオ「ラギーがそこか〜!オレは入るの難しそうだなぁ。獣人じゃないし、精神……っていうのも違うと思う……」
そう言うミーオの声の大きさが、どんどん小さくなる。
サバナクローは獣人だけっていうわけではないけど、確かにミーオは、不屈。っていう感じではないな。
どちらかと言うと、慈悲の精神に基く寮、オクタヴィネル寮だろうけど……。あそこはなぁ……。
ミーオが、あの寮だけには入らないように祈っとこう。そうしよう。
学園長「あーーーーっ!!!!見つけましたよ!イーゾラくん!!!」
随分と遠いところから大声を出し、急いだ様子でこちらに駆け寄ってくる学園長。
ミーオ「あ、学園長だ……」
学園長「ほんっっっとに!!!!貴方は!!!何で待つくらい出来ないんですか!!!!」
ミーオ「でも……学園長は『少し待っていてください』って言ったけど、『ここで待っていてください』とは一言も……」
ラギー「え……??ミーオ、もしかして抜け出してきたんスか?」
学園長がミーオに向かって叱っているところを見て、オレはミーオに恐る恐る聞いた。
ミーオ「抜け出してきたっていうか……そのぅ……」
モゴモゴと口をつむぐミーオに、オレは心の中で溜息をついた。
学園長「もう、どうして学園に来る生徒は問題児ばかりなんでしょう…………!!」
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!