ジェル side
あれ…俺、確か寝ちゃって…?
目覚めると同時に、ぎゅっ、となーくんに抱き着かれた。
…よく見たら、なーくん以外のメンバー、それに異能団のみんな、
リリ、ノノカちゃん、キュウちゃんの姿があった。
…俺、そんなに寝とったんか…?
心配かけてしもた…あかんな、俺…。
みんなの発言からして、俺と同じようなことが起きていたんだと悟った。
ということは、このメンバーで、殺し合いを…?
部屋の四方八方に付けられたモニターから、GMの声が聞こえた。
モニターに写っていたのは、紺色の髪を頭上で1つに結び、
左目には黒い眼帯、右目には紺色の瞳の少女。全てが不気味だった。
今、俺達がいる場所が、大広間だと気づいた。
奥には、裁判所にある証人台のような台が四角を描くように設置されている。
…あそこで、話し合いをしろ、というのだろう。きっと。
俺達は、渋々自分の名前を探す。俺は……お、あったあった。
---------✁︎キリトリ✁︎--------
…ついに、始まってしまうのか…。
もうそろそろ、ドッキリ大成功っていう札が来てもええんとちゃう…?
…なんて、現実逃避しても、現状は何にも変わりゃしない。
夜会える。
なら……と思ったけど、相手がもし人狼だったら…あかんやん…。
俺は市民やから、なにも出来ない。
…みんなのために、なんか、したかったな…。
プツン、とモニターが切れた。
戸惑いながらも、みんなぞろぞろと大広間を出ていく。
なら俺も…と思い、動き出そうとした時、ぐいっと服を引っ張られた。
振り返ると、そこにいたのは…。
断る理由もなかったから、うん、と相槌を打って一緒に大広間を出る。
ぱっと見て、部屋順も、大広間の席順と大して変わっていないことに気づいた。
---------✁︎キリトリ✁︎--------
エコちゃんの部屋の前まで来た。
じゃあな、おやすみ、と言って、俺も自分の部屋を目指す。
ぐいっと腕を引かれた。
今にも泣き出しそうなエコちゃんの声に、何て返せばいいのか
分からなくて、エコちゃんの手を、両手で包み込んだ。
エコちゃんが部屋に入ったのを見送ってから、俺も自分の部屋に入る。
そこにあったのは、俺のイメージカラーである橙色で統一された家具。
椅子、机、冷蔵庫、ベッド…全てが橙色で統一されていた。
1番初めにみたモニターも付いており、相変わらず"市民”と表示されている。
…市民の俺に、できることはあるのだろうか。
なーくん、さとちゃんみたいに、場をまとめる力もなければ、
ヒカちゃん、キュウちゃんみたいに、良く回る頭もない。
あかん。どんどんマイナス思考に陥ってまう。
ボフンとベッドに飛び込むと、急に眠気が襲ってきた。
それに抵抗せず、そっと目を閉じる。
すると、俺の意識は、闇へと落ちて行った。
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伝わることのない声をぽつりと零す。
だって、今、自分が1番信じなきゃいけないのは…。
__モニターの、✗✗✗の文字が、物語ってるから…。
☆1日目、終わり☆
犠牲者…なし。
処刑者…なし。
2日目へ続く…
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編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。