「あの、青井さんって透視能力とかあったりするのかなーって思ったんだけど、、噂で」
僕は噂を信じている訳じゃないけど、すごく気になって本人に直接聞いてみた。
「自分が嫌いになった人は死んじゃうってほんと?」
青井さんは、無言で僕を見た。
「あの、、そうだからってどうすることもないけど、そうだったら嬉しいなって」
「嬉しい?」
ずっと閉じていた青井さんの口が小さく開いた。
「僕も透視能力があって、、。僕が恋をした人は死んじゃうの。だから、同じだったらいいなって」
そう言うと青井さんはフフッと小さく笑った。
「そうだよ、君と同じ。仲間だね。嬉しいよ」
そう言って、今度はさっきよりも大きい声で笑った。
あぁ、なんて美しいんだろう。
青井さん、きれいだなぁ。
あまりにも貴方が笑うから、僕も声を出して笑ったんだ。
こうして同じだねって笑い合えただけで、僕はすごく幸せなんだ。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!