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第1話

出会いは桜の木の下で
私は小さい頃から重い病にかかっている
外になんか出たことがない
私が外の世界をされるのは小説かテレビだけ
貪るように毎日小説を読んだ
でももう読んだことのない本の方が全然少なくなってしまった
「松村さん、2時ですよー」
2時から3時までの1時間だけが私の自由時間
「じゃあ外に行こうかな」
「はい、車椅子押しましょうか?」
「ううん、大丈夫。自分で行く」
「そうですか」
「ありがと」
別に外に出たってやることなんかない
でも最近は桜が綺麗に咲き始めたから、それを眺めてるのもいいかなって
「こんにちは〜、外に行くの?」
「はい、桜でも見ようかなって思って」
ここにずっといるから、いろんな人に話しかけられる
「いいわね、おばちゃんも後で行ってみようかしら」
「はい、結構綺麗ですよ」
「じゃあね」

「おねえちゃん!」
「あ、ココちゃんか」
「こんどきてね?えほんよんで!」
「うん、じゃあ明日行こうかな」
「うん!まってる!」
この子もまた重い病を患っている
こんなに小さいのに、と涙が出てくるが私は泣ける立場にいない
「あぁ、結構綺麗に咲いたな」
大きな桜の木に淡い桃色の花がたくさんついている
ブワァ
風が強くふく
切るのもめんどくさくなって伸ばしっぱなしの長い髪が風になびく
この風で多くの花が儚く散って行く
ここにいる人たちの命みたいだな、この桜は
ここにいる人はみんな病持ちだ
仲良くなったっていつお別れが来るかわからない
私だってそうだ
いつも死と隣り合わせ
いつ家族とも会えなくなるかわからない
だから、あまり病院では砕けた友達は作らないようにしている
その人が死んだとき私がどうにかなってしまいそうで怖いから

「こんなところで1人、何やってるの?」

私に話しかけてないだろうから、と無視していたら私の前に出て来た
「何やってるの?」
「…誰ですか」
「ん?誰でもないよ」
「あったことありましたっけ」
「ないない、僕ら初対面!」
初対面にしては親しげすぎるこの男はなんだ
「ちょっと気になってさ、あっ怪しいものではないよ!」
「は、はい」