しばらくすると,酔いもなんとなく覚めてきた.
そう言って車から出た.
本当は会社に置こうと思ってた携帯は,置くのを忘れてポケットの中に入っていた.
街灯の明かりと携帯の画面の明るさだけで
暗い夜道を歩く.
ひんやりと冷たい風が、頬を撫でる.
素足だからか,余計寒く感じる.
時刻は22:30
小走りで家に帰った.
音を立てないように寝室に向かう.
ゆっくりドアを開けて,着替えをする.
布団から手が伸びてきて抱きしめられた.
なんだかもやもやする.
すにょんの顔が髪に触れている.
今すにょんは,どんな表情をしているか.
まだ疑っているのか,私をぎっちり抱きしめる.
その声は優しかったけど、
抱きしめる力は強くて
怖気を震う.
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編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。