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第1話

第1話
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2020/10/04 11:43
あなた

空、綺麗だなぁ…。

公園のベンチに腰を下ろし、呟く。


青い空から、赤く変わる。

その瞬間が、私は大好きだ。
あなた

今、莉犬くんは何してるのかな…。

好きな人の、好きな色。

綺麗で、なんだか神秘的。


でも、この時間も長くは続かない。
あなた

あ、暗くなってきた。

紫っぽいような、暗い色。

それからだんだん、紺色に。

そして、

毎日形が変わる月、

キラキラと光る星が出てくる。


赤色がなくなって寂しい気持ちはあるけど、この夜の時間も、好き。



でも、夜はどうしようもなく悲しくなるときがある。

なんか、恋しくなる。

何がかはわからないけど。


それと、夢を見る。

男の人が出てきて、

「あなた。」

って。

悲しそうな顔をして、私の名前を呼んでくる。

その夢を見た次の日の朝。

私はいつも泣いている。

あなた

家、帰ろ。

ベンチから腰を上げ、帰路につく。

今日はいつもより、肌寒い。



それに、なんだか嫌な予感がする。

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