公園のベンチに腰を下ろし、呟く。
青い空から、赤く変わる。
その瞬間が、私は大好きだ。
好きな人の、好きな色。
綺麗で、なんだか神秘的。
でも、この時間も長くは続かない。
紫っぽいような、暗い色。
それからだんだん、紺色に。
そして、
毎日形が変わる月、
キラキラと光る星が出てくる。
赤色がなくなって寂しい気持ちはあるけど、この夜の時間も、好き。
でも、夜はどうしようもなく悲しくなるときがある。
なんか、恋しくなる。
何がかはわからないけど。
それと、夢を見る。
男の人が出てきて、
「あなた。」
って。
悲しそうな顔をして、私の名前を呼んでくる。
その夢を見た次の日の朝。
私はいつも泣いている。
ベンチから腰を上げ、帰路につく。
今日はいつもより、肌寒い。
それに、なんだか嫌な予感がする。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。