第6話

夏祭り
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2018/07/26 01:32
「夏祭り行こうよ」
「いいよー」
「私、浴衣着たい」
教室は夏祭り一色だ。僕はさほど興味がないがハナちゃん、海さん、店長といったら楽しいだろうなと思った。
「ねえジンクス知ってる?」
突拍子もない話が聞こえる。
「夏祭りに好意を寄せている人行くとその恋は実るんだって」
僕は特に感心するわけでもなかった。他のクラスメイトは深々と感心している。
「先生は夏祭り誰かといかないんですか?」
さすがは美人教師。実習生ということもあって希望があるのではないかと誘おうとしている奴も多いようだ。ジンクスの効果もあるのではないか。
「その日は仕事あるから」
大人な対応だ。歳はたいして離れていないはずだがスーツがそう見せているのかもしれない。いつもの先生よりも素っ気なかったのが気になった。
「ここは代入しなきゃ解けないよ」
僕はさぼりがなくなったはずだがタチカワ先生の補習を受けている。楽しいから別にいいのだがこの美人の時間を奪ってしまってよいのか悩む。
「先生、夏祭り本当にいかないんですか?」
僕は相変わらず話を振るのが下手だ。
「補習をこんなにやっている子が夏祭りの話しとは余裕だね」
先生は夏祭りという単語に反応しているようだ。
「学校には来るようになったからまだいいんだけど」
ごまかすように先生が話を続けた。
「一緒に挑戦するって言ったんで」
僕は出されている課題に戻る。

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