ールキ視点ー
家で騒いでた吸血鬼と人間を叱る前、つまり僕があのバーにいた時の時間に遡るーー。
黒夜からルキに戻ってとあるバーのドアを開ける。
ーー何かがおかしい、そう僕の勘が言っている。
今目の前で喋っているのは紛れもなくアイツだ。
なのに、なぜか違和感がある。
一体、どうして…?
そういってアイツは代金を払い店を出た。
ーーやっぱり、何かが違う。
僕があっちの世界に居たのは一週間も無かった。
人間は一週間でガラッと代われる程いい様に作られていない、僕がそうだからね。
だとしたら、なんだろ…アイツ二重人格じゃないし…。
もし二重人格なら、黒夜が分かるもんね。
でもあんまり強くないんだよね、お酒。
ーーどうしよ。
いや、やっぱり止めとこ。
早く僕の家から出て貰いたいし((
そうと決まれば、さっさと帰りますかね…。
・・・。
そしてアイツの名前も、柳。
ーーまさか、ね?
そんな事を呟きながら僕は家に帰っていった。
ーー柳にストーカーされていると知らずに。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!