ー桃羽視点ー
私はいつになったら、御父様の所に帰れるのかな…。
ほら、今日もまたオークション。
どれだけ人身売買すれば気が済むのかな…なんて思ったけどこの人達は人間じゃなくて化け物なのよね…。
私、もう死ぬのかな…。
コイツらの餌になって、血肉を吸われて、ミイラみたいになっちゃうのかな…。
それに私と一緒にオークションに出されるこの子。
世間知らずの私でも知ってる有名人、神崎ありさじゃない。
よくこんな人見知りがアイドルできるよね、なんて思ってもしまう。
いけない、また私の腹黒が出てきてしまった。
私の悪い癖よね…。
もう、今が朝なのか昼なのかも分からない。
何もかも、どうでも良くなってきた。
あ~あ、最後位恋してみたかったなぁ…。
ああ、終わった。
二十億なんて端金だけど、私にそんな価値なんてないのにな…。
せめて最後に私を買った人の顔を見ようと思い顔をあげた。
するとあちらも同じことを考えてたのか、青髪の男の人と目が合った。
その瞬間、ドキッと私のどこかが音を立てた。
な、なんで…?なんで私を買った奴にそんな事思わなきゃいけないの…!?
頭の中がグルグルして、思考が上手く纏まらない。
あれ、私…どうしたんだろ……。
考える事すら疲れて、私はそのまま意識を失った。
ーー気がつけば私は、どこかの屋敷にある上等なベッドの上に寝ていた。
恐らく、私を買った奴の家だろう。
こんな所に寝かせるなんて、私に性処理をさせるつもりなのだろうか…。
ーーえ?
見た目は人間、私と同じ日本人の見た目だけど、瞳の色が青に近い水色…。
いや別に命まで駆けなくてもいいわよそんなの。
てかこの子仕事って言った?一体どんな仕事してるのこの子!?
あの時の、目が合った人…。
じゃあ私戻るね~!と言ってあなたさんは部屋を出た。
ーーなんだろう、二人でいる事が物凄く気まずい。
気まずいっていうか…気まずい、うん。
・・・。
いや気まずい、めちゃくちゃ気まずい。
なんならあのあなたとかいう女の子の方がずっとマシだった!
そういえば私あまり男性と話さないんだった!!
いや十分混乱してますよそりゃあ。
ーーーん?
え、この人吸血鬼なの?え?ちょっとどういう事?え!?
やっぱり私、ここで殺されるんだ…。
短い人生だったね私、さよなら。
そういって青髪の人は私に体を近づけ、首元に顔をうずめた。
配慮なんていらないんで早く血を吸うなりなんなりしてくださいよ…。
その瞬間、チクッとした痛みと悲しいような、ちょっと甘酸っぱいような不思議な感覚が私を襲った。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!