第21話

‐第二十話‐
239
2020/05/02 03:45
ー桃羽視点ー
私はいつになったら、御父様の所に帰れるのかな…。
ほら、今日もまたオークション。
どれだけ人身売買すれば気が済むのかな…なんて思ったけどこの人達は人間じゃなくて化け物なのよね…。
私、もう死ぬのかな…。
コイツらの餌になって、血肉を吸われて、ミイラみたいになっちゃうのかな…。
星川 桃羽
星川 桃羽
私、どうなるんだろ…
それに私と一緒にオークションに出されるこの子。
世間知らずの私でも知ってる有名人、神崎ありさじゃない。
よくこんな人見知りがアイドルできるよね、なんて思ってもしまう。
いけない、また私の腹黒が出てきてしまった。
私の悪い癖よね…。
もう、今が朝なのか昼なのかも分からない。
何もかも、どうでも良くなってきた。
あ~あ、最後位恋してみたかったなぁ…。
???
は~い、二十億で~!!!!!!!!!!
ああ、終わった。
二十億なんて端金だけど、私にそんな価値なんてないのにな…。
せめて最後に私を買った人の顔を見ようと思い顔をあげた。
するとあちらも同じことを考えてたのか、青髪の男の人と目が合った。
その瞬間、ドキッと私のどこかが音を立てた。
な、なんで…?なんで私を買った奴にそんな事思わなきゃいけないの…!?
頭の中がグルグルして、思考が上手く纏まらない。
あれ、私…どうしたんだろ……。
考える事すら疲れて、私はそのまま意識を失った。
ーー気がつけば私は、どこかの屋敷にある上等なベッドの上に寝ていた。
恐らく、私を買った奴の家だろう。
こんな所に寝かせるなんて、私に性処理をさせるつもりなのだろうか…。
???
あ、起きたんですね、おはようございます
ーーえ?
見た目は人間、私と同じ日本人の見た目だけど、瞳の色が青に近い水色…。
桜崎 (なまえ)
桜崎 あなた
あ、私は桜崎あなたです
ちゃんとした人間ですよ、星川さん
星川 桃羽
星川 桃羽
私の事、知ってたんだ…
桜崎 (なまえ)
桜崎 あなた
そりゃあ、人間界で有名ですからね…
星川 桃羽
星川 桃羽
で、私を殺しに来たの?
桜崎 (なまえ)
桜崎 あなた
へ!?そんな訳ないですよ!
それにあのオークションはさとみ君の仕事であって、星川さんを殺そうなんて…!!
星川 桃羽
星川 桃羽
じゃあ性処理?
桜崎 (なまえ)
桜崎 あなた
違います!絶対に違います!命賭けます!!
いや別に命まで駆けなくてもいいわよそんなの。
てかこの子仕事って言った?一体どんな仕事してるのこの子!?
ころん
ころん
あなた~、桃羽起き、た…?
星川 桃羽
星川 桃羽
あ……
あの時の、目が合った人…。
桜崎 (なまえ)
桜崎 あなた
あ、ころちゃん!ありささんの方はどう?
ころん
ころん
ーーッハ!え、え~とそっちは魅夜達が見てるから心配ないよ~!!
桜崎 (なまえ)
桜崎 あなた
そっか、良かった~!
じゃあ私戻るね~!と言ってあなたさんは部屋を出た。
ーーなんだろう、二人でいる事が物凄く気まずい。
気まずいっていうか…気まずい、うん。
ころん
ころん
えっと、桃羽ちゃんって呼んでいいかな…?
星川 桃羽
星川 桃羽
ああ、どうぞ…
・・・。
いや気まずい、めちゃくちゃ気まずい。
なんならあのあなたとかいう女の子の方がずっとマシだった!
そういえば私あまり男性と話さないんだった!!
ころん
ころん
あの、さ…
星川 桃羽
星川 桃羽
は、はい…
ころん
ころん
その~、ここに来てすぐだから混乱してるかもしれないんだけど…
いや十分混乱してますよそりゃあ。
ころん
ころん
少しだけ血、貰っていい…かな?
ーーーん?
え、この人吸血鬼なの?え?ちょっとどういう事?え!?
やっぱり私、ここで殺されるんだ…。
短い人生だったね私、さよなら。
星川 桃羽
星川 桃羽
まあ、どうぞ…
ころん
ころん
ありがとう、ずっと我慢してたからね…
そういって青髪の人は私に体を近づけ、首元に顔をうずめた。
ころん
ころん
もし痛かったらごめんね?
配慮なんていらないんで早く血を吸うなりなんなりしてくださいよ…。
その瞬間、チクッとした痛みと悲しいような、ちょっと甘酸っぱいような不思議な感覚が私を襲った。

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