ーさとみ視点ー
皆が人間界に持っていく衣服やら小物やらを整理している間、俺とあなたはとある所にやってきた。
恐らく人間界に行ったら、暫く来る事が出来ない。
だから、お別れを告げに来た。
俺の手中には白と紫のシオンの花束がある。
さて、何の事だか。
あ、引いてる。
これは引いてる態度だ、多分。
こんな所までアイツに似てるんだな。
俺は墓に向かってそう言うと、シオンの花束を墓に置いて来た道を戻った。
花言葉?勿論知っててシオンの花にしたんだぞ?
シオンの花言葉はーー
“君を忘れない”
アイツが忘れろとか言っても俺は絶対忘れない。
存在自体を忘れると、今まで散々アイツの事で相談に乗ってくれた皆の気持ちまで忘れるという事だ。
だから、心の奥に閉まって置くよ。
それに、また守らなきゃいけない物が出てきたからな。
お前にそっくりで、愛しい存在が。
ーー次は絶対にヘマしねぇ。
例え、何があっても。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。