ーさとみ視点ー
なーくん、今なんて言った?
“元の世界に帰す”?
え?元の世界に帰すって言ったか!?
いや理由も何もあっちの世界に帰すとまた襲われるだろ!!
違うぞるぅと、蓮の場合ーー
おいルキ止めろ、蓮が爆発してしまうぞ。
いや、もしかしてコイツそれが狙いなのか…?
おお、耐えた…!
あの地味にプライド高い蓮が耐えた…!
ーーあ
あ、そういえば二人紹介するために魅夜の部屋に来たんだっけ、忘れてた。
ーーあ、確かそんな話してたな。
こちとらまだ言えてないし匂いだってヤバイんだからな!
なんて言えるハズもなく、俺達は魅夜の部屋をあとにした。
ーーやっぱりあなたは俺の事覚えてないのだろうか。
それはそれで悲しいけど。
だが、やっぱり成長するに従ってアイツに似てくるんだな…。
なんで俺の側からいなくなったんだよ…。
薊………。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!