真「私…、勝利と付き合うことになった♡」
真由からそう聞いたのはあれから1ヶ月経った時だった。
真「いい感じだったんだけど、なかなか勝利から言ってくれないから、私から付き合ってって言っちゃった!」
『…、ふーん。おめでとう。』
真「ありがと♡」
突然のことに驚いたけど、別にどうでもよかった。
真由から勝利君とのこと聞いてたから、付き合うのも時間の問題だと思ったし。
それに勝利君とはあれっきり会ってないし、もちろん連絡すらしてない。
もう関わることは、きっとない…。
真「ところでさ〜、あなたと健人はどうなの?」
『どうって、予定が合えば出掛けたりしてるけど。』
真「あなたはさ、健人のことどう思ってるの?」
『いい人だと思うよ。すごく優しいし一緒にいて楽しいし。』
真「好き、なの?」
『…よく、わかんないや…。友達としては好きだけど、恋愛としてはって聞かれると…。』
真「まだ元カレが忘れられないの?」
『えっ?あー、あんなヤツとっくに忘れてるから(笑)』
真「そうなの?(笑)…付き合ってみたら好きになるかもしれないよ?」
『かな〜?そんな気持ちじゃ中島君に悪いよ』
真由にも言ってないけど、1週間ほど前に中島君から告白された。
好きだって言われたのはすごく嬉しかったし、このまま中島君のことを好きになっていくような気もした。
断る理由なんてなかった。
それなのに私の口からは
『…ごめ、ん、なさい。』
って発していた。
その時の中島君の顔は悲しそうに微笑んでこう言った。
中「断られるんじゃないかと思ってたよ。いつまで経っても健人って呼んでくれないし、あなたちゃんは気付いてないかもしれないけど、いつも見えない壁を作られてる感じがしてた(苦笑)。」
こんな悲しい顔をさせて、こんなことを言わせてしまう自分に罪悪感を覚えた。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。