子は、死んでしまった
影月様も倒れられ
お腹の子もいなくなった
その日から私は空っぽになった
例えるなら────
"生き人形"
必要最低限の動きしかしなくなった
でも、唯一自分の意思で動けることがあった
自殺行為だった
なんで駄目なの?
なんでなの?
分からなかった
ある日、影月様のお部屋から、こんな会話が聞こえてきた
会話が聞こえたのは、そこまでだった
それから数日後
あの医者が死んだ
影月様が殺したらしい
それから……ずっと自我が無いようだと………
だから私は、久々に自殺行為以外で動いた
そこには、何人も倒れていた
血塗れで、ズタズタだった
でも、生きている人間も多かった
そして、私は鬼になった
それっきり、姉上とは会っていない
それから直ぐに、例の物語の続きを知らされた
怨霊は人々を呪い殺した
その後、葬儀に怨霊は訪れ、本当の姿を晒した
正体は、天女だったという
天女は人々を生き返らせた
"命を大切にしなさい"
"死んだ後では遅いのだから"と言って消えたという
私の名前は………天女からとっていたのだ
その天女は、人々の心に光を指した
そんな天女の名から……
私は酷く後悔した
親がくれた名前を嫌ったことを
本当の意味も知らずに
自分の子は殺してしまったことも────
それらを忘れるために私は────
鬼に堕ちたのだ
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。