私が生まれ育った片桐家。
禪院家、五条家、加茂家の御三家程の権力はないが、他の呪術師の家系に比べたらかなり高い地位に着くだろう。
そんな片桐家の37代目当主、片桐倭の一人娘が、この私。
片桐家次期当主として、幼少期から呪術について片っ端から教え込まれていた。
何か一つでもミスを犯せば罰が与えられ、最悪の場合お父様からこっぴどく叱られる。
初めは辛かったけれど、慣れてしまえばどうも思わない。
そんな日々の積み重ねが、今の私を確立していったのかもしれない。
昔から構って貰えなかったから、構って欲しくて馬鹿なことをしてみたり、先生に反抗してみたりしていた。
所謂、" 構ってちゃん " というやつだ。
誰かに、構って欲しかった。
認めて欲しかった。
存在意義を証明して欲しかった。
生きる希望が欲しかった。
誰かに、愛されてみたかった。
みんな、本当にありがとう。
私はみんなに救われたよ。
片桐あなたの過去編 ① ✔
✄--------------- キ リ ト リ ---------------✄
……To be continued
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!