同窓会当日。
結局2週間、大毅からの連絡はなく…
私も開き直って、そのままにしてた。
さっ、参りますか!
直哉は大毅と親友だった。
同級生なんだけど、しっかりしてて。
お兄ちゃんみたいな存在。
ヤンチャな大毅の面倒をよくみてた。
でも、高校が離れ離れになって、
大毅も直哉も、
あんまり会わなくなっちゃったんだよね…
付き合った時、大毅と約束をした。
『お前が俺の彼女って、絶対、絶対、誰にも言ったらあかんで。ほんまに!これだけは約束してな!!』
彼はアイドルだから。
週刊誌になんか載っちゃったら大変だ。
だから私の家族と大毅の家族以外は誰も知らない。
由美にも秘密にしなきゃダメだよね…
レインボーカフェに到着する。
お店に入ると懐かしい顔ぶれが!
みんな久しぶりだけど、
すぐに打ち解けて。
あの頃に戻ったみたい。
すると横から、
ドンっと私を跳ね除けて行く人物…
そう、ジャスミン。
彼はトランスジェンダー。
ずっとその事でいじめられてたけど、
大毅と直哉は気にしなくて。
2人と一緒にいるようになってから、
いじめは自然となくなって。
だからジャスミンは2人のことが大好きで。
でもたぶん、私の事はあまり好きじゃない。
私の携帯をバッと取ると、
勝手に登録を始めた。
聞かれる前に応えとく。
すると、
みんながジャスミンの周りに集まって。
私は面白くない気持ちでいっぱいで。
置いてあるカクテルを一気に飲み干した。
カシャ!
シャッター音に目を向けると、
ジャスミンが写真を撮っていて。
まるで、彼女気取りだ。
ジャスミンは外見は男の子だけど、
中身は女の子。
大毅と直哉の事、たぶん好きだった。
当時は何も思わなかったけど、
今はなんかモヤモヤする…
だって、すごく綺麗になってるんだもん。
気持ちを入れ替える為に、
外の空気が吸いたくなった。
お店から出ようとした時、
胸が痛い…
そうだよね…
大毅の横には女優さんとか、
モデルさんとか、
一般の子だって、かわいい子がお似合いだよね。
わかっていますよ、それぐらい…
私じゃ釣り合わないってことぐらい…
席を立って外に出た。
お酒が入ってるせいか、
マイナス思考が止まらない…
2週間連絡なし。
メッセージ、既読になったのに返信なし。
私の事なんか忘れて、遊んでたりして。
周りはかわいい芸能人ばっかだもんね。
やば…泣きそう…
お店から直哉が出てきた。
グッと涙をこらえて歩く。
溢れ出てくる涙。
止まる気配はなく…
会いたいよ…
大毅に会いたい。
どうしたらいいの?
直哉は黙って頭を撫でてくれていた。
すると私のカバンを持って、
ジャスミンがやってきた。
すぐに携帯を取り出す。
大毅からの鬼のような着信。
すぐにかけ直したけど出ない。
メッセージを確認した。
なにこれ…
どうゆう事?
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!