次の日…
大毅からの連絡はなかった。
その次の日も…
何度も、メッセージを送ろうと思ったけど、
待つ事にした。
あの時の大毅の顔…
頭から離れないよ…
そして、3日後、
電話ではなくメッセージがくる。
“すぐに連絡できなくてごめん。とりあえず、大丈夫やねんけど、ネットで拡散されてしもて…しばらく活動休止やねん。落ち着いたらまた連絡します。あと、ジャスミンやけど、連絡取れへんねん。あなたからもしてくれるか?こんな事頼めるのお前しかおらんくて。この埋め合わせは必ずするわ。ほんまごめんな。”
ネットで拡散?
見ると、写真は3枚もあって。
その中の1枚はジャスミンの顔がはっきり写っていた。
コメント欄を見る。
ジャスミンの本名や勤め先、実家、学生の時の顔写真…
トランスジェンダーという事も、面白おかしく書かれてた。
その内容はあまりにも酷く、怖くて手が震えた。
すぐにジャスミンにメッセージを送る。
返信も、既読になる事もなかった。
とりあえず、東京へ行ってみよう…
由美に事情を話し、
直哉の連絡先を教えてもらう。
直哉ならジャスミンの住所、わかるかな。
事情を話すと、
すぐに住所を教えてくれた。
会社を早退した。
すぐにジャスミンの所へ行きたかった。
あの時はちょームカついたけど、
やっぱり心配だ。
あと、聞きたいこともあった。
大毅とどんな関係かって。
警戒心の強い大毅が、
あんな目立つ所で、
女の子と腕組むなんて、
考えられない。
東京駅に着いた。
夕方のちょうどラッシュの時間で。
たくさんの人たち。
東京の凄さを感じる…
京浜東北線…京浜東北線…
やっとの思いで探して乗り込む。
自宅と思われるマンションの前に着く。
部屋番号を押す。
ピンポーン!
………
出ない…
すると後ろから、
と、2人組の女子高生。
すぐに大毅のファンだとわかる。
書き込みを見て、わざわざやってきたのだろう…
ぶん殴ってやりたいほどムカついたけど、
ここは冷静に…
彼女たちの気持ちを聞いて、
怒るのも仕方がないのかなって、
複雑な気持ちなった。
でも、ここにいられるとジャスミンに会えない。
すると、本当にグッドタイミングでお巡りさんが!
女子高生は行ってしまった。
お巡りさんがやってきて、
適当に道を聞く。
ふぅ…
もう一度、ジャスミンに送ったメッセージを見る。
まだ既読にならない。
こうなったら…
しばらくマンションの前にいて、
マンションの人の出入りを見計らって、
サッと入る。
ここまでくれば、あとは部屋まで行くのみ!
エレベーターで5階へ。
503…503…
あった!
ピンポーン!
出てくる気配がなし。
ポストの口を開け叫ぶ。
すると中からバタバタバタバタっと音がして、
ガチャ…
扉が開く。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。