寂しいに決まってる。
しばらく会えないって思うと余計。
だから、離れられなくなる前に離れたかった。
ドアを開けて出ようとすると、
手を引かれ、ギュッと抱きしめられる。
大毅の顔を見ようとすると、
胸にギュッと頭を押し付けられ、
すっぽりと大毅の胸の中に。
ドクンドクンドクンドクン…
心臓の音。
これは私の?
いや、大毅のだ。
でも、私だって同じくらいドキドキしてるよ。
恋人になるなんて、
キスされるなんて、
こうやって抱きしめられるなんて、
まだ信じられない。
でもね、幼馴染はもう嫌。
私もギュッと抱きしめた。
すると大毅は、
もっと強く抱きしめた。
さらに強くギュッとされて、
離してくれない…
最後は無理矢理解いて、
ぶーぶー言ってる大毅を引っ張り、
ママ達のいるリビングへ。
とっても嬉しそうな2人。
そして大毅は迎えに来た車に乗り、
東京へ行ってしまった。
私も家に帰ってベッドに寝転がる。
今日あった出来事を思い出す。
あぁー
恥ずかしいー
てか、化粧くらいしておけばよかったー!!
もっとかわいい服着てけばよかったー!!
もっと素直になって話せばよかったー!!
いろいろ後悔する事が多くて。
でも、それより何より、
この寂しさは何なんだろう…
昨日までなかった感覚。
はぁ…
すると、大毅からメッセージ。
“やばい…俺、もう寂しい…”
すぐに返信する。
“私もだよ”
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。