生まれてすぐ、私は雇われの人に育てられた。
兄も母も父も、私を軽蔑の瞳で見る。
高い地位をもった種族らしいけど、
深くは知らなかった。
けれど私は成長するにつれ、
いらない地位ということに気づき始めていた。
「 ひとりで勝手に悩んでろよ 」
「 だからなんなの!?一人で寝てなさいよ! 」
「 はぁ、仲良くしろよ。俺に被害が来るだろ? 」
謝っても謝っても謝り足りないと言われる
時には喋るなだとか、顔見せるなだとか
言われて育ってきた。
よく一人でシャボンディー諸島まで買い物に来る。
その度私に向かって土下座する人達に、
母や父、兄の態度はこれまでも酷いんだと
思い知らされた。
怖がって土下座して言うこと聞いて。
まるでただの奴隷のよう。
そういうと土下座していた人達は
驚いた顔で私の方を見る。
権力や地位に溺れた私の家族とは違う。
涙を浮かべる人も少なくなかった
そういうとみんなしくしくと泣き出す。
ごめんなさい"、ごめんなさい"と嘆きながら
私がしゃべり出したことでまた視線が私へ集まる
なんで私が謝っているのか。
この人達をこんなに泣かせた人が
きちんと直接謝るべきなのに。
オークションで人を買っては逃がしてる
地位や権力のおかげか、
父や兄のおかげか、お金だけは苦労したことがない
だからオークションで買って、
買ってはこっそりと逃がしてる。
たとえ奴隷"と言われても、人間には変わりない
天竜人も、奴隷も、魚人族も、全種族、
同じ血の流れる生き物なのだ。
助け合い、時には喧嘩もするのが
私たち人間"のやるべき事なのでは、
そんな考えは甘く、理想にしかすぎない。
兄や母からの態度が一層悪くなった時、
私は家出を決意した。
行くあてもない為、
シャボンディー諸島まで来ていた。
______ もちろん、
私は"普通"の服を着て、荷物も自分で持って
とある酒場に行ったんだ。
"お酒"を初めて飲んだ(未成年)
初めてで限度がわからなくて、
ベロベロによって。
その時の記憶はないけど、曖昧でなら覚えてる
酒場にいた人に泣きついて、謝っていた
次の日、きちんと私は事情を話した。
外が騒がしくなった頃、
海軍がとある海賊を捕まえにきていたらしい
酒場の人達は、海軍"なら助けてくれるかもしれない
そう言ってくれた。
ただ、"天竜人"の話はするなと
そう言われたあと私は背中を押され、
______ 海軍に拾われた。
そういいながら少し微笑んでいるように
見える彼女は、今の環境に馴染んでいるのだろう
幕開けなかったらごめんね(最低)
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!