______ 次の日
学校に行くときはいつも
朝早起きして
お弁当を作ってから向かう。
いつも誰もいない時間に学校に着く。
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今日も誰もいないだろうと思っていたら
私より先に来ている人がいた。
彼は 白布 賢二郎(しらぶ けんじろう)。
同じクラスでバレー部の正セッターだ。
私たちのクラスは一応特進クラス。
白布は医学部を目指しているらしい。
白布はクールでキツい性格だと思っていた。
でも、本当は話すととても優しくて
素直じゃないけどちゃんと周りを見れる人で
助けてくれる人。
そんな白布は私の親友でもある。
彼は中学の時の白鳥沢の試合を見て
牛島先輩に憧れて外部受験でここに入ってきた。
3年生には前正セッターの瀬見先輩もいる。
彼には少し荷が重かったのだろうか。
彼は少しスッキリした顔を見せた。
______プルルルル…
電話が鳴った。
画面を見ると飛雄からだった。
少し嬉しかった。
こんなにも頼られているなんて思ってなかったから。
こんなのラインで言えばいいのにな…
少し気まずくなってしまった。
今までこんな雰囲気になったことないのに。
白布が悩んでたからってのもあるのかな…?
____________ 放課後
私は急いで校門に向かった。
校門の前には学ランで立つ男の姿。
授業後、分からないとこがあると
友達に言われ勉強を教えていたら
約束の時間から30分過ぎていた。
彼は無表情であんまり話さないけど
本当は優しくて話すと楽しくて
ドジで天然な部分もある。
私はそんな飛雄が、多分好き。
素直じゃないし生意気だけど
バレー愛は誰よりもあるし
辛い時支えてくれたのは飛雄だった。
でも、この想いは伝えないって決めている。
飛雄はバレーが恋人みたいなもんだから
何年彼を想っても私は敵わない気がするんだ。
でも、彼を支えたい。
だから何かあれば飛雄の元に行くって決めてる。
辛いことがあれば一番に彼に話すようにしてる。
こういう他愛のない話をしている時が
一番楽しかったりする。
一緒に買い物行って
料理も一緒に作る。
その時間が楽しくて仕方がない。
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でも飛雄には、伝えられない。
飛雄が好きだなんて、私は言えない。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!