バレー部の先輩に挨拶。
主将はいつもと同じ制服だけど、少しおめかしをしていて、いつも以上に可愛い。
主将は私に返事を返してから、「じゃあね」と言うと、ある人のところに走っていった。
大田先輩は私も知っている。ぶっきらぼうで目つきも悪い先輩だ。そして、主将の幼なじみ。
確か男子バレー部の副部長だった気がする。
先輩はふと私の方に目を向けた。
私は思いっきり大田先輩から目を背ける。
主将にそう言われて嬉しい。
大田は興味なさそうに呟くと、私の方に歩いてきた。
慌てて大田先輩を追ってこちらに来る主将。
私は先輩を見つめた。
きっと大田先輩は、私の名前を知らない。
でも、顔はよく知ってるはず。
だから、話があるって言ったんだ。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!